ルーシーがダイヤモンドを持って空にいるんだ
同行のメイクさんの腕は一級品。「メイク」じゃなくて「変装」に近い化け方なら、かなり自信のある私だけど、彼女には負けました。
彼女のマジックとカメラワークで、クラブの子達が、半分以上、外人顔に変貌を遂げてましたから。
てな感じで、現在、お勤め先のクラブで使う会員さん用特典アルバム製作の撮影で、ロケ用のバン借りてクラブの子達と転戦中です。
連続の猛暑日に、竜巻まがいの突風やら大雨やら、ロケ自体がかなりハード。
クラブのフロアが広いんだから、セットを工夫したら外に出なくても何とでもなる感じがするんだけど、今回はカメラマンさんが変更、しかもプロのメイクさん付きって事で、特別なんだよね・・・どーせ外に出るなら海外旅行、、あっ、それが無理ならせめて関西から遠く離れようよ、って言ったんだけど、経費節約って事で、無理すりゃ大阪から日帰り可能な「秘密スポット」巡りです。
だったらクラブの方だって、女子の大半が抜けて縮小営業になるんだから、無理に外に出なくても、って言うことなんだけど、新しいカメラマンさん導入の経緯が、ワケありでロケ自体が彼の意向を汲んでってことなのね。
実を言うとこの新人カメラマンさん、いやクンかな。うちのクラブ経営陣の一番の実力者の親類縁者なのだ。
・・って書くと、私が今回の成り行きに、すごく憤慨してるように聞こえるかも知れないんだけど、この新人カメラマン君はかなり私のお気に入り。
聞けば彼自身、ラバーファッションにもかなり傾倒してるみたいだしね(違う方面でも期待度大)。
撮影中に、すごい雷雨があって、それぞれ車に別れて避難したんだけど、その時はカメラマンの彼と一緒。
カーラジオを付けたら丁度、人生相談番組、、妻から鼻血が出るほどビンタされても、それが妻の愛情表現だと思ってる45才の男が、自分たちのぐれた娘についてグダグダ言ってて、相談相手の女性がこれまた、この男の煮えきらなさにキレてラジオ放送だってことを忘れて罵詈雑言の嵐。
初め出来芝居かと思ったほど、回答者の言葉が荒くて吃驚したんだけど、何を言われても男の「はぁ、そうかも知れません」のリアクションを聞いていると、回答者の方も、そりゃ仕事忘れて興奮するわと・・。
それになんとなくこの男、罵声と侮蔑を浴びながら、じんわり興奮してるような節があって。
「貴男は、蛇みたいな愛情表現を奥さんに求めてるわけでしょ。実際、奥さんがあなたを愛してるかどうかなんて判らないんだけど、鼻血が出るくらいの暴力を受けても、貴男はそれを受け入れてる。第一、こんな今日はじめてあったばかりのオバさんにムチャクチゃ言われても、それを唯々諾々と黙って聞いてるんだから、、、貴男45才なんでしょ。男として・・・云々」
最後は、この番組のまとめ役の男性司会者まで、「子育てに悩んでるポーズをとりながら、良い夫婦を演じてるだけでしょ、あんた達夫婦は。子供が可愛そうだ!」みたいな。
ここまで聞き終わって、二人で顔を見合わせながら「凄いサドマゾ夫婦ですね。」「でも娘さんが一番可愛そうだよ」・・とゆーか、この番組自体、回答者が男の態度に切れてしまって、肝心の娘の問題言及に至っていない状態。
多分、実生活でも男性司会者がちらっと言いかけたけど、「ぐれた娘」なんて、この夫婦からしたら実質、完全放置なんだろうなと。
「そうかな~、聞いてる限りでは旦那は真性マゾだけど、奥さんも旦那を軽蔑しながら無意識のうちでは愛しているのかも知れないでしょ、それに娘さんも将来、女王様やってたりして・・・・あっチカさん、ごめんなさい。」
どうやらこのカメラマン君、どこからか私の過去を聞いているみたい。
確かに似ていなくもないけど、私の父親は放蕩無頼の遊び人ではあるが、決して弱々しい人間ではなかった。
「いいのよ、でも○○君ってホント、良い人ね。」
良い人は大体、人間性善説を取る。
あるいは人間性善説を無意識に選んでしまうから良い人なのか、どちらが先なのかは判らないけれど。
ああでも・・これは車の中で半分濡れたボンデージ着てするような会話じゃないなぁ。
夕暮れ時に、突然の夕立の気配。
藍色を増した空が急速に濁っていく。
うっそうと茂った鎮守の森から、白鳥の群れが、垂れ下がった雨雲を背に横切っていく。
遠くで稲光が走るけれど、鳥たちの輝くような純白が色あせることはない。
けれどその白は、禍々しく不安な予感を運ぶ白のようにも思える、、、。
気取りすぎ。道路から見える田圃に白鳥たちがいるのが、ざらな撮影ロケだった。
そのくせ、時々、此処にどうしてこんなお洒落な店があるの?という現場も巡った。
聞けば、カメラマン君がいつかは此処で撮ってみたいと暖めていた場所だそうだ。
あっ、「お洒落」と言っても、エロ姿の女達が映える「お洒落」なので、そこに公共的な景観美なんか全然ないんだけれど。
見物人がいたら眼を剥くようなコスで、それぞれの娘たちが撮影を済ませていく。
みんな心得ているし、早い早い。
「近くに、いい温泉ないかしら。みんなで汗でも流しましょうよ、私なんていつもゴム着てるんだから(汗も)になっちゃう」と無理矢理持ちかけ、結果、撮影スタッフが立ち寄ってくれた温泉を見て、私は一人苦笑い。
なんだか見覚えがあるじゃんて思ったら、そこは前に出張デートで来た場所なんだよね。
その時の出張デートのお相手は女性(こーゆーのは私みたいな雑食系NHならでは、お殿様もお姫様もOK、)でした。
エミィ(エミィってサービスの間中、私とお客様との間で使ってた彼女の愛称)は、私より年上だけど、とっても可愛い人、同じエミィでも上沼恵美子さんとは全然違いますよ。
お世辞抜きで年齢よりずっと若く見えるし綺麗。
それに「仕事がとっても出来る」っていうのは、エミィは隠してたけど、こういお仕事してる私にはすぐに判る。
三拍子も四拍子も揃った女に、世の中の男は、自分に自信がないから手を出さないんだよね。
エミィはレズなの?ってそれとなく聞いてみたんだけど、彼女本人もそこの所はよく判っていないというか、整理が出来ていないようだった。
初めて見たラバーに「私、一度はこんなの着たかったんだけどスタイルに自信ないし、私の環境じゃ品物自体を手に入れられないし」って言ってたけど、そんなこと全然なくて、ラバーを着たエミィってすっごく格好よかった。
全頭マスクは、さすがに被るのを怖がってたけど、顔面が全部オープンなポニーテールタイプは、彼女、鼻が高いし目が大きいから凄く良く似合ってた。
それに彼女は本気の「M」。
この温泉のI亭で、プレイのゴム責めに乱れに乱れたエミィの姿、思い出すだけでかなりの興奮モノ。
温泉近くの観光スポットで、指と指を絡ませて手を握って歩いただけで、「セックスしてるみたいだった」って言った人だから感度抜群だし。
手を握ってる相手が一見「女」で、ぱっと見、レズビアンカップルにみられるし、でもその相手の正体は実はオカマ・・・ステイタスのあるエミィにして見れば大冒険だったんだろうと思う、、でも普通、散歩ぐらいでパンティを汚しちゃうかな。
勿論、人気のないテーマ館でそっとエミィの耳を舐めたchikaも悪かったけど。
手と言えば、初めて付けたラバー手袋同士で、指を絡ませただけでカラダの芯に電流が走っただなんて言ってた彼女、ラバーでも素質あったし、それにNH大好き熟女なのが貴重。
昨今「危険性のない話し相手」の需要だけは多いんだけどね。私の場合は男オンリーってわけじゃないし。
でも、私のって、「ワタシタチ」の中では膨張係数とか硬度なんかでいうとすっごくグレートなんだけど、男のキングサイズを上回ってるわけじゃないから、あんな風にエミィから崇拝されると嬉しいような彼女が心配なような、不思議な気分だったな。
みんなでワイワイ騒ぎながら渡った橋のたもとにある子供のブロンズ像にも見覚えがあって、エミィと朝市のついでに散歩した時に、これを見て「ほらこの子、昨夜のエミィみたいだよ。お口を無邪気にあけちゃってさ、欲しい欲しいって」冗談言ったら、彼女、真剣に頷いてたなぁ。
まあ私も自分の釣り針の返しにだけは、自信があるしね。
これでM男さんを何人釣り上げたか、、だって私のお客さんって逆アナル所望ばっかだし、自分では体験出来ないけど、あの返しの引っかかりが超気持ちいいんだろうなぁと思う。
で、そういうお客さんの極みの時の向こう側に、時々、その人の人生や生活を垣間見る時もある。
ブロンズ像みながら、エミィが朝方、私の貧乳に預けてくれた彼女の頭の重さと髪の香りを思い出しちゃった。
人は色々な「顔」を持っている。
こういうお仕事をしてると、かなり露出頻度の低い「顔」を見ることになるんだけど、だから逆に頑張らなくちゃ、せっかく解放してしてくれたその表情を大切にしてあげなくちゃって思うんだよね。
そんな事を思い出して、ちょっとボッーとしてたら、件のカメラマン君が、「ねえチカさん、これから朝市によってみません?ここ、朝市有名でしょ。おみやげ見たいし」って今、何時だと思ってるの?朝にやるから朝市なんでしょが、って思いながら「ええ、それなら向こうの旅館の裏手あたりに結構大きなお土産物屋さんがあるわよ」と自然に応えてる私。
私もひょっとして、人間性善説採用派なんだろうか。
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