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159【中小零細企業の正しい銀行の選び方】元銀行員・地方在住・財務コンサルタントの思索


はじめに


今回は正しい取引銀行の選び方についてです。年商10億円規模までの中小零細企業に限定して書いて行こうと思います。

多少マニアックになるかも知れませんが、約20年前、神戸市の少し西部・旧さくら銀行店舗・SMBCの法人営業部員として対中小企業分野の銀行業務に携わってからずっと、銀行とは何がしかの関りがあります。東名阪等の主要都市部、県庁所在地やそれに準ずる商業都市や、人口数万人から中核市未満の地方都市・郡部といった様々な状況下で、融資する側、される側、更には仲立ちをするという様々な立場で生きてきました。その中で得られた知見をまとめます。もし良ければ最後までお付き合いください。

セオリーから説明すると

言うまでもなく中小零細企業にとって、銀行との取引は経営における重要な柱の一つです。銀行からの融資は、潤沢な資金を有するごく一部の恵まれた企業を除く、たいていの企業にとって、新たな設備投資や運転資金の確保に欠かせないパートナー的存在です。そのため、適切な銀行との関係構築は企業の成長に直結します。以下、まずは中小零細企業が銀行取引を成功させるためのポイントについて説明します。

1. 銀行の種類と特徴

銀行にはメガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合、政府系金融機関などがあります。それぞれの銀行には独自の特徴があり、中小企業は自社のニーズに合った銀行を選ぶことが重要です。

●メガバンク
 全国展開している大手銀行で、資金力が豊富です。大口の融資を低金利で提供することができますが、中小企業向けの個別対応は難しい場合があります。たとえ年商10億円前後の規模であっても、外国為替等の特殊要因が無ければまず、一般的に融資取引は必要ないと考えられます。

●地方銀行
地域密着型の銀行で、地域の中小零細企業との関係を重視します。個別融資に積極的で、地域経済の発展に貢献しています。しかし、あくまで株式会社ですので自社と株主の利益を追求する営利企業ということを覚えておいてください。

●信用金庫・信用組合
小規模事業者向けの融資を得意とし、地域に根ざしたサポートを提供します。大口の融資には対応しにくいですが、きめ細かい対応が期待できます。”中小零細企業の経営を持続させる”ために成り立っている組織ですので、経営がバックギアに入ってからも普段の取引で信頼関係を作っていれば粘り強く支援してもらえる可能性は高まります。

●政府系金融機関(商工中金を含んで考える)
経営が苦境に陥りそうな場面でも、営利を追求する株式会社である民間の金融機関と違い、事業の永続をサポートする役割も担っているため、平時より取引を行うことで事業のリスク軽減になるという面があります。

2. 銀行との関係構築のポイント

銀行との良好な関係を築くためには、一般的に以下のポイントを押さえることが重要です。

●定期的なコミュニケーション
 毎月がベストですが、最低3か月ごとの四半期毎に業績報告と現在のトピックを説明に銀行を訪問、もしくは担当者に訪問してもらう形式が令和の今も王道です。銀行担当者との定期的な面談を通じて、会社の現状や将来の計画を共有しましょう。これにより、銀行側も企業の状況を把握しやすくなり、必要な時に迅速な対応が期待できます。

●透明性の確保
財務状況や経営計画を透明性を持ち正しく開示することが信頼関係の基盤となります。特に、月次決算や取引状況の正確な報告を怠らず、習慣化することが大切です。迅速に対応してくれる会計事務所と付き合い、自計化のレベルを向上させていくことも重要です。

●複数の金融機関との取引
一つの銀行に依存せず、企業のステージ毎にベストな複数の金融機関と取引を持つことで、資金調達において競争させることができます。企業と同じで金融機関毎に得意、不得意がありますので状況に合わせてベスト先を利用しましょう。

※”具体的にまとめましたの項”別添の表をご参照ください。

3. 銀行取引の戦略

中小零細企業が銀行取引を成功させ、永続的に支援を獲得していくための具体的な戦略をいくつか紹介します。

自社に適した銀行選び
 自社の規模や事業内容に合った銀行を選ぶことが重要です。例えば、地域密着型の地方銀行や信用金庫は、中小企業に対して柔軟な対応が期待できます。

長期的な関係構築
銀行との関係は長期的な視点で構築することが大切です。短期的な利益を追求するのではなく、信頼関係を築くことで、将来的な資金調達が円滑に進むでしょう。

銀行主催のセミナーやイベントへの参加
銀行が主催するセミナーやイベントに積極的に参加することで、最新の金融情報を得るとともに、銀行との関係を深めることができます。友人経営者を紹介したりすれば、更に銀行との関係性は深まります。年度を通じての勉強会等であれば節目節目で頭取(社長)や専務常務クラスの担当役員とコミュニケーションを取ることもできます。泊りがけの研修旅行なども時間とお金を割ける状態であれば関係性構築の効果は抜群です。

4. 銀行とのトラブルを避けるために

銀行との取引において、以下の点に注意することでトラブルを避けることができます。

提出書類の正確性
提出する書類は正確かつ最新の情報を提供することが重要です。不正確な情報は信頼を損なう原因となります。

経営者の信頼性
経営者自身の信頼性も言うまでもなく重要です。銀行は経営者の人柄や経営方針を重視するため、誠実な対応を心がけましょう。

セオリーをまとめると

中小零細企業にとって、銀行等の金融機関との取引は事業運営の生命線とも言えます。それは現金がある限り、企業は生き続けるという原理原則があるからです。適切な銀行選びと良好な関係構築を通じて、安定した資金調達を実現し、企業を適切に成長させ、永続させて行きましょう。その土台は日頃からのコミュニケーションと提供する情報の透明性の確保、良好な信頼関係と言えます。


結論:具体的に表にまとめました


筆者作成

表について
・小さくて読みづらく恐れ入ります。
・エリア毎の微妙な差を読み取っていただければと思います。
・完全なる正解とは言いかねますが、一つの基準として見てください。

最後に一番お伝えしたいこと

創業企業のみならず、老舗企業においても現在生きている企業においては、たいていの場合、恩義に感じている金融機関があるのではないでしょうか?ただ私がお伝えしたいのは、その感謝の気持ちを持ち続けることは人として大切かも知れませんが、経営者である以上、事業を継続し、社員・スタッフ・取引先を守って行かねばならない役割があります。そのため、あくまで「自社にとってのベストな銀行取引はどういう状態か?」を熟考した上で、対銀行取引の戦略と戦術を決めていただきたいと思います。少しでもその判断のお役に立てればと思い書きました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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【融資・財務コンサルタントの仕事をかみ砕いて言うと…】

岡山県倉敷市という地方都市で、独立系の融資・財務コンサルタントというニッチな業態を生業としています。

得意な分野はやはり「融資」です。貸すと借りるの両方を経験し、その道のコンサルタントとして活動している人はまだまだ少ないと思います。

実務としては、インタビュー・対話形式をメインで、銀行などの金融機関の評価が高まる、改善施策を行動計画にまで落とし込んだ「経営計画」を作るお手伝いとなります。実はこの「経営計画」を作っていく中で、自社の情報を体系的に整理するというメリットを得られます。そして、銀行から自社の財務状況がどう評価されているのか?(財務格付と言います)を算定するノウハウが弊社にはあります。この財務状況がどういう状態なのかをコンサルテーションの中で、分かり易く説明させていただきます。少しだけ踏み込んで言えば、この財務格付の算定プロセスの中に、自社の改善ポイントを見つけることができます。

「経営計画」以外には、銀行借入の再編プランを作り、金融機関への説明資料を経営者と一緒に作成し、場合によっては銀行の許可を得た上で、交渉の場に立ち会わせていただくことも頻繁にあります。銀行融資の再編だけでびっくりするくらいの資金繰り改善に繋がることが多くあります。

色々と書きましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者には、頼りになる右腕的幹部社員もいなかったりするケースが一般的です。つまり、私(弊社)は外注幹部社員としての役割を担うことになります。

融資・財務改善を軸としたコンサルタントは多いようで実は少ないと考えられます。このnoteを読まれたことも何かの縁ですので、自社の財務面や戦略面でモヤッとしていることがあればお気兼ねなく、質問などお問い合わせください。メールとfacebookへのDMでどうぞお気軽に。

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株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀






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