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154【経営課題解決のための正しい断捨離とは?】元銀行員・地方在住・財務コンサルタントの思索


はじめに


岡山県倉敷市やその近隣の市町村という地方都市経済圏で、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者を対象に、融資・財務面の改善を軸としたコンサルテーションを行っています。いち企業も人間が作り出したものなので、家や自分の部屋を整理整頓し、いわゆる断捨離を行うことで様々な面で良い循環が回り始めることはよくあります。顧問先経営者に口酸っぱく説明するのは「企業内で断捨離すればその空いたスペースにはヒト、モノ、カネ、情報といった要素で今までよりも質の高いものが必ずやってきますよ!」という原理原則めいた体験的な事実です。半信半疑の方もおられるかもしれませんが、一方で「うん!分かる!」という体験をしてこられた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、「捨てる=やらないことを決める」ことは往々にして有益であることを事例を交えながら述べていきます。読みやすい内容ですので、もし良ければ最後までお付き合いください。

やらないことを決める戦略とは何か?


市場全体を考えて自社が何を提供してどう生き残るのか仮説を明確にしましょう!


「事業ドメインの選定」と言ったり、場合によっては「事業リストラ」を伴うこともあります。もう少し経営学的に言えば、「戦略ポジショニング」とを明確にするということです。言い換えるなら、自社が選んだ市場において「どういったターゲットに何を販売していくのか?」を明確にし、勝ち抜いていく根本的な作戦の土台というイメージです。「戦略ポジショニングは競争優位の源泉である。」というマイケル・ポーターの有名なフレーズにあるように非常に大切な要素です。このポジショニングを決めることそが経営戦略の根本であり、感覚的経営に陥りがちで経営資源の限られる年商10億円規模までの中小零細企業の経営者こそ、慎重に取り組むべきであると考えます。

中小企業の経営戦略において、戦略を決めることは「やること」を決め、反対に「やらないこと」を明確に決めることとも表現できます。もし、既に事業を展開していて行き詰まりを感じたり、業績に伸び悩む場合は一度立ち止まって、”自社の戦略ポジショニング”=”根本の経営戦略”を見直し、やるべきことを決め、同時に捨てるべきことを決めるという手順をお勧めします。

戦略ポジショニングを決めるポイント

戦略ポジショニングを決める際のポイントを以下に述べます。

  1. 「弱者」であることを自覚する。中小企業は大企業に比べて資金力や人員、知名度などが劣っていることが一般的です。この現実を受け入れ、自社の強みと弱みを客観的に評価しなければなりません。弱者ではあるが、小規模な組織のため意思決定が早く、隙間のニーズを捉えていくような言わば小回りを利かせられる戦略を立てることができます。

  2. 戦略立案の前に調査と分析を行う。他社の成功事例を真似るだけではなく、自社の市場や競合の強さや少なさ、ターゲット顧客のニーズを調査・分析しなければなりません。一般的な成功パターンだけでなく、自社に適した戦略を見つけるために必要不可欠です。

  3. 無理なく無駄なくはじめる。大胆な戦略を一気に実行するのではなく、テストマーケティングを実施し、小さく始めてみるという考え方も大切です。無理なく、無駄なくステップを踏んで戦略から導いた戦術を展開していけるように工夫すべきと言えます。成功と失敗から学び、ノウハウを蓄積し、選定した市場において勝利を重ねていかねば企業は永続しません。

  4. 分かりやすく具体的にする。経営戦略は経営者だけでなく、従業員それぞれの理解と協力も必要です。具体的で分かりやすい戦略を組織全体に落とし込み、全員が共通の目標に向かって協力し合えるチームとしての力を向上させていくべきです。

※言うは易く行うは難しですが、経営の根本を決めるわけですからじっくり取り組んでいただきたいです。

事業リストラの絶大な効果

前段でやることを決めるとやらないことが決まるという、事業の一部を捨てるということに触れました。中小企業の経営において実は、事業リストラ・不採算部門からの撤退は重要な戦略的手段です。経営資源が少ないのが中小企業経営における弱点です。そのため経営資源が集中すれば市場における勝率は上昇するという原理です。中小企業経営者は自由で、特に創業経営者は自信家で好奇心の強いタイプの方が多いため、経営資源をかえりみず、過剰に複数の事業に手を出してしまうケースが散見されます。(恥ずかしながらかつての私もそうでした…。)

以下4つ、事業リストラの効果について詳しく説明します。

  1. キャッシュフローの改善➡不採算部門の撤退や規模の縮小、無駄なコストの削減などにより、キャッシュフローを改善できます。これは企業の持続的な成長に不可欠です。平たく言えば資金繰りの改善です。

  2. 収益率の向上➡赤字部門や不採算の商材・サービスが無くなることで、収益構造の見直しにより、利益率を向上させることができます。効率的な事業モデルを構築すれば競争力は高まります。

  3. 負債減少や再編による負担軽減➡赤字補填部分の借入の増加を止め、さらに既存の借入の返済条件を見直すなどの財務リストラに取り組むと、資金効率を高める効果を得られます。シンプルに言えば資金繰りが改善します。

  4. 競争力の向上➡事業リストラによって、市場の変化に適応し、強みを際立たせ、うまくいけば新たな成長機会を見つける好循環に入ります。

※事業リストラは、経営者が環境変化に柔軟に対応し、持続的な成功を実現するための重要なステップと言えます。

事業リストラの事例

とある医療法人の事例です。元々経営していた地元ではない遠隔地に地元での診療科とは異なる新領域である別のクリニックを経営しておられました。しかしながらニーズはあるものの様々なコストが絡み、競合も強い都市部という市場環境もあり、閉鎖するという事業リストラの判断になりました。規制緩和があり、経営者自身がオンライン診療も併用していたものの、遠隔地への移動がどうしても定期的に発生し、体力と時間的な資源を削られていたことから解放され、元々のクリニックの経営に集中することで様々な施策を打ち出すことが可能になり、必然的に患者数が伸びていったというケースがありました。

この他、福祉事業の経営者がFCで取り組んでいた学習塾事業を売却したり、建設業の経営者が飲食事業を手放すことで経営者の営業活動が研ぎ澄まされ本業の成績が飛躍的に改善していった事例などが挙げられます。いち地方都市の事例ではありますが、おそらく全国でも同様の原理原則があてはまると考えています。

ちなみにですが、弊社が取り組んだ「事業リストラ」のケースは全て成功しており、中小零細企業における事業の断捨離の効果は目を見張るものがあると実感しています。

まとめ

・勇気をもって自社がやるべき領域を決め、どう勝ち残っていくか戦略を明確にしなければならない。

・「戦略ポジショニング」が決まれば必然的にやらないことが決まり、捨てるべきことが見えてくる。

・企業にとっての断捨離である「事業リストラ」は経営資源が乏しい中小零細企業にとっては業績改善の切り札に成り得る。
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【融資・財務コンサルタントの仕事をかみ砕いて言うと…】

岡山県倉敷市という地方都市で、独立系の融資・財務コンサルタントというニッチな業態を生業としています。

得意な分野はやはり「融資」です。貸すと借りるの両方を経験し、その道のコンサルタントとして活動している人はまだまだ少ないと思います。

実務としては、インタビュー・対話形式をメインで、銀行などの金融機関の評価が高まる、改善施策を行動計画にまで落とし込んだ「経営計画」を作るお手伝いとなります。実はこの「経営計画」を作っていく中で、自社の情報を体系的に整理するというメリットを得られます。そして、銀行から自社の財務状況がどう評価されているのか?(財務格付と言います)を算定するノウハウが弊社にはあります。この財務状況がどういう状態なのかをコンサルテーションの中で、分かり易く説明させていただきます。少しだけ踏み込んで言えば、この財務格付の算定プロセスの中に、自社の改善ポイントを見つけることができます。

「経営計画」以外には、銀行借入の再編プランを作り、金融機関への説明資料を経営者と一緒に作成し、場合によっては銀行の許可を得た上で、交渉の場に立ち会わせていただくことも頻繁にあります。銀行融資の再編だけでびっくりするくらいの資金繰り改善に繋がることが多くあります。

色々と書きましたが、年商10億円規模までの中小零細企業の経営者には、頼りになる右腕的幹部社員もいなかったりするケースが一般的です。つまり、私(弊社)は外注幹部社員としての役割を担うことになります。

融資・財務改善を軸としたコンサルタントは多いようで実は少ないと考えられます。このnoteを読まれたことも何かの縁ですので、自社の財務面や戦略面でモヤッとしていることがあればお気兼ねなく、質問などお問い合わせください。メールとfacebookへのDMでどうぞお気軽に。

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45分無料経営相談承ります。

nori.nakamuraconsul@gmail.com

以下、個人facebookです。

※KOKUYO社が運営する経営お役立ちサイトでコラムを寄稿しています。もし良ければこちらもごらんください。無料でダウンロードできるツールもあります。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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株式会社なかむらコンサルタンツ
代表取締役 中村徳秀

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