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76【身の丈に合った銀行取引を勧める理由】地方在住経営コンサルタントの思索

写真はJR岡山駅1番ホーム。午前5時25分始発の伯備線米子行き普通列車です。新見行き、もしくは備中高梁行きが多いのですが、撮影していて、「たまには鈍行列車で山陰路へ一人旅も良いかも?」とふと思いました。
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銀行選びが実は大切

今回のテーマはベストな銀行取引を目指していくための初歩的なお話です。実は都市部であっても、人口3万人~10万人弱程度の小規模な地方都市であっても、取引銀行を選ぶセオリーはあります。銀行を適切に選び、適切に借入を再編成するだけで、資金繰りが改善し、有望な事業へ再投資する資金を捻出でき、経営全体を持ち上げ、根本から改善させていくきっかけになることは十分可能性があることです。

「身の丈に合った」という表現は決してネガティブイメージで捉えて欲しくはありません。年商10億円規模までの中小、零細企業経営者の方の大半は「なんとなく」取引銀行が決まっているのではないでしょうか?

そもそもですが、まず前提の基礎知識として金融機関の種類を説明します。

知ってるようで知らない金融機関毎の特徴

銀行(金融機関)のカテゴリーと得意分野などの特徴を列挙いたします。

①3大都市銀行+りそな銀行

➡基本的に大企業や年商50億円規模以上の中堅企業を対象とします。
年商30億円規模までまず必要ないと考えて大丈夫です。現在は新規融資社数という評価項目が外れている銀行が大半なので、年商10億円程でもセールス攻勢があったと思いますが、時流が変わり、年商30億円以下は事実上「お呼びでない。」という状況です。

②第1地方銀行

➡各都道府県に存在する、いわゆる「地元トップ行」という存在です。小規模な企業にも当然、融資は行いますが、あくまで年商10億円(本当の理想は30億円)以上をターゲットに経営しています。つまり、小規模な企業の場合は保証協会付融資に依存するケースが散見されます。「地元トップ行」という看板にブランドを感じる小規模な企業の経営者もまだまだ多く、保証協会付融資が大半にもかかわらず、第1地方銀行と取引していることにステータスを感じていらっしゃることもままあります。

③第2地方銀行

➡過去、各地域に存在した「相互銀行」が法律改正により地方銀行となった業態です。そのため割と信金信組の動きに近い、小回りの利く存在ではあります。メインターゲットは年商10億円程度まで。本店営業部や中核店舗など営業店のランクによっては年商規模の大きな企業へも積極的に融資を行います。しかし、あくまで主戦場は年商10億円規模までというイメージです。今後、財務状況や地域の経済規模によっては吸収合併の対象ともなり得る立場の銀行が多いので主力行として依存し過ぎるとまずい場合もあります。

④信用金庫・信用組合

➡地域に根差した金融機関です。個人事業主から年商3億円程の規模までをメインターゲットに活動しています。当然、年商規模が10億円以上の企業と取引するケースもありますが、メインとしてではなくサブとして取引するケースがほとんどです。都市銀行や地方銀行と違って、実際に預金として集めた資金を融資するため、金利は多少高めになります。現金や振り込み伝票の回収といった雑務にも応じてくれるケースもあり、小回りの利く存在という側面は依然としてあります。

⑤政府系金融機関:日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)
・商工中金

➡商工中金であれば、年商4億円規模から取引するケースが多くなります。年商5億円を超えていれば、日本政策金融公庫の中小企業事業との取引が可能になってきます。それまでの規模は国民生活事業が対応します。保証協会付融資のように、業績不振になった際の長期資金を用立ててくれる心強い存在です。好調の際は、民間金融機関のプロパー融資。経営不振になった場合は民間金融機関での保証協会の一般枠と政府系金融機関の長期資金で調達するというセオリーを覚えておきましょう。

理想の組み合わせ=理想の経営!?

なぜ、事業内容や事業規模ににマッチした金融機関との取引が必要かとういと、それぞれの金融機関に役割が存在するからです。

都市銀行は全国展開や海外展開といったダイナミックに経営を広げていく場合は有効でしょう。最低でも年商は10億円程度は無ければ、新規でのプロパー融資での取り組みは難しいでしょう。

一方で地域内での事業継続を狙っていく場合は地方銀行と信金・信組との取引で十分対応可能です。各エリア内でのビジネスマッチングを図るだけで良い、という絵を経営計画で描ける場合は、毎月ないし2カ月に1回程度、試算表と資金繰りの実績と簡易的な経営レポートを携えて、取引金融機関の支店長室を訪ねてお茶を飲むことをルーティン化しましょう。

最初習慣化するまでは大変かも知れませんが、習慣化し、金融機関との信頼関係ができれば想像以上にあなたのビジネスに協力してくれることになるはずです。特に建設業など、地元に密着し、資金需要が明確な業種は必須の行動といえます。

まとめ

・事業規模と展開に見合った金融機関選びが、経営安定化に寄与する。

・適切な金融機関選びと、借入の適正化が腰を据えて落ち着いて経営判断のもとになる。

・金融機関との良好な関係は定期的な、業績と経営課題の開示にある。隠したり嘘をつくと信頼関係は構築できない。

・まだまだ中小零細企業の経営は金融機関との連携は重要である。

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株式会社なかむらコンサルタンツ

代表取締役 中村徳秀

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