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サッカー少年たちと過ごす週末

久しぶりにぐっすり眠って起きたら10時。今日の息子のサッカーの試合はアウェイなので、少し遠い試合会場まで行く必要がある。開始時間がお昼すぎで何よりだ。別のチームは集合時間が確か8時台だったような気がする。土曜日の早朝に集合となると、前日が補習校で帰りも遅いので大変なのだ。

ベルリンの地下鉄、Sバーン、バスを乗り継いで約50分。ちょっとした遠足である。こんなふうにサッカーの遠征は、市内各地に散らばっているチーム所有のサッカーコートまで行くことになるので、自分の行ったことのないエリアに足を運ぶ機会ができるわけだ。今日はベルリンの西側、シャルロッテンブルク宮殿の近くにあるヴェストエンド駅からバスで二駅のところまで。そんなによくは知らないが、全く知らないというわけでもない地区だ。

Sバーンへの乗り換え駅でばったりチームメートに会う。母親が付き添いだったが、まだベルリンに慣れていないのでホッとした表情を見せた。ちらっと連絡した方がいいかな、と思った人とこうやってホームで偶然出会えるのだから面白い。

みんなでワイワイ言いながら行く方が断然楽しい。本当にサッカー好きの男の子なので、移動中にスマホのアプリで息子とサッカーゲームをしていた。そんな彼はたまに一軍でもプレーすることがある。ボスニア出身の小柄ですばしっこいストライカーだ。私と母親がドイツ語で会話をしていたら、「ママ、今言われたことわかったの?」とボスニア語で聞いていたのが微笑ましい。

サッカーチームの子どもたちを見ていても、誰が心底サッカーが好きで、勝ちに貪欲か、ということがよくわかる。10歳かそこらでも、その辺りの温度差というかサッカーに取り組む姿勢は全く違う。息子も負けるのは嫌いだが、ボスニアから来たストライカーは勝ちにさらに貪欲だ。今日の試合には体格で完全に頭ひとつぶん大きかったチームに残念ながら負けてしまったが、1点得点を決めた彼は試合が終わってから悔し涙を見せた。それだけ今日の試合は勝てた試合だったということなんだけれど。

息子が試合に負けて泣いたことはまだない。必死になれる何かがあるのはいいことだよなぁ、と彼らを見ているとつくづく思うのだ。今日は芝生のコートだったので、みなで座っての観戦になったおかげで、保護者ともいつもより会話が弾んだ午後となった。こんなことなら、今日の試合はピクニックしながら見れたよね、と言ってみなで笑った。

どこまでも平和な午後だった。



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