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暗いベルリンで「黄金の夏の太陽」を思い浮かべる
今日は友人に声を掛けてもらって、カフェで少し暖を取ってから、教会で行われたコンサートに出かけた。
演目の中に、リヒャルト・シュトラウスがおよそ100年前にベルリンで作曲したというコメディタッチでストーリー性のある楽曲があった。「商人の鑑」(Krämerspiegel Op. 66)という12曲からなるソングサークルである。
教会なので、コンサートホールのように観客席と舞台といった区切りもなく、至近距離でのパフォーマンスになる。人前で堂々と声を出して歌う、というのはさぞかし気持ちのいいものだろうなぁ、と呑気なことを考えられるのは観客席側に座っているからなのだろう。これだけ間近でパフォーマンスをするのは並大抵のことではないはず。
1時間ほどのコンサートはあっという間で、アンコール曲では日本語で「もみじ」の演奏も聴くことができた。あー、これはだめだ。日本語になった途端、涙腺が崩壊しそうになるのだから厄介である。そういう意味でも、母国語の言葉の響きというのは感情としっかり絡みついているものなのだろう。
自分の言葉でない外国語で歌う、というのはどういう感じなのだろうか。おそらく、プロの方のレベルになると練習量も半端ないので、母国語並みに馴染みの深いものになっていくものなのかもしれない。意味が取れないと感情も込められないわけで、限りなく「演じる」ということに近づいていくのかも。そんなことを考えながら日本語とドイツ語によるアンコール曲を堪能する。
生演奏はダイレクトに伝わってくるので、たまにこうして足を運んで音楽に満たされた空間に身を置きたくなる。そして、こんなにも優れた音楽を聴く機会が身近にたくさんあるのだからベルリンというのは恵まれた街だと思う。
声を掛けてくれた友人と、ベルリンの暗い初冬を束の間でも忘れさせてくれた音楽家の方には感謝したい。
吉田志門さん(テノール)、野村七海さん(ピアノ)によるライブ配信のアーカイブを是非、ご覧ください。(こちらでシェアする許可を頂いております)
これからの季節、積極的に心の栄養を与えて行かねば。友人とおいしいもの食べたり、コーヒー飲んだり、行ってみたいところに出掛けたり。寒くて暗い時期だからこそ、意識して良いものをたくさん身体に取り込んでいきたい。来週もがんばろう、そう思える週末だった。
*タイトル写真は久しぶりに行ったクロイツベルクのカフェ
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