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無理強いはさせないで

日本の小学校に比べるとベルリンの小学校はかなりゆるい。宿題もほとんど出なければテストらしきものもたまにしかない。高学年になってくると若干事情は違ってくるものの、それでもまだゆるい気がする。

それに輪をかけてもうかれこれロックダウンの影響で5ヶ月ほど不規則な授業体制が続いている。休校→完全アナログな家庭学習→オンライン併用家庭学習→入れ替え制短縮授業→抗原テストとセットで短縮授業続行といった具合だ。

今は週に2度の小学校で行うセルフ抗原テストが義務付けられている状況だ。ドイツ全国の7日間指数は一時170台だったものが、現在は130台にまで下がっている。それぞれの州の指数が165を超えると休校になってしまうが、ベルリンの数値はとうとう100を切ったようなので当分その心配はなさそうだ。

コロナ禍の影響は様々だが、息子を見ている限り運動量がグッと減り、家にいることが増えた。娘は決まった友達の家にほぼ通うような形になっているが、息子はそこまで定期的に会う友達がいないので家で退屈を弄んでいる時間が増えてしまった。週に2度のサッカーの練習があるのがせめてもの救いだ。ただ、試合形式の練習ができなくなったのでつまらないのだとか。とにかく何をするのにも制限がついて回るので気の毒になってしまう。

これまでの学校生活は8時過ぎに1時間目が始まり、給食を挟んで終業するのが14時半ぐらいだった。そして、その後に日本で言うところの学童のようなところに16時までいて、友達と思い存分遊んで帰ってきたわけだ。

そのことを思うと、今は開始時間は同じだが10時半過ぎには授業が終わり、その後も友達と遊ぶことなしにまっすぐに家に帰ってくる日がほとんど。学校にいる間はマスクを着用し続けなければならないし、休み時間にも友達と自由に遊ぶこともできないらしい。ただ勉強しに行くだけではつまらないのだ。それはとてもよくわかる。

それに、子供たちが学校に普通に通えなくなるとそのありがたさが改めて身に染みる。以前は必要であれば9時から16時までは仕事に当てられていたのだから。ゆるくても、なんでもだ。学童に入れる条件は満たしてはいるのだが、如何せんコロナ禍でクラス以外の子供と接触が増える場所に預けるのも心配ではあるし、なんと言っても預ける親も減っているため友達がいないのだ。そんなところに16時までひとりでいてもそれはそれで意味がないのである。ジレンマでしかない。

授業のコマが半分以下に減っているが、その分を家庭学習で補うことなど理想のまた理想、というのが正直なところだ。マスク着用で授業を受けて帰ってくると、疲れてしまうのかなんだかぐったりしている日がここのところ増えてきた。「残っている課題をやろうかー?」と声を掛けてもさっぱりである。困った。これ、困っている保護者の方が多いんじゃないかと思う。

娘の方は全くノータッチなので状況がさっぱり分からないが、話を聞く限りでは友人と一緒に課題や提出物に取り組んでいるらしい。もう11歳なのであれこれ言ってもあまり聞かないのだ。日本語補習校もオンライン授業になったことや、毎年恒例の一時帰国ができないので目に見えてモチベーションが低くなってしまった。宿題もさっぱりなので「宿題やっといてー」と言ったら相方に横槍を入れられた。「無理強いはしないで」と。

無理強いじゃないんだけどなぁ。日本語学習については横槍を入れないで欲しいのだ。結局、娘と話をして今日は一緒に30分ほど宿題をやったら何も問題がなかった。11歳だから構わないで放っておきすぎたのが良くなかったらしい。匙加減ってほんと難しいもんだな、と軽く反省した。

タイトルイラスト©shinsukesugie


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