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子どものマネージャー業務も大変だ

メディアコーディネーターという肩書きで、もうかれこれ20年以上できることはなんでもやっているので、マネージャー業も大体OK。ただ、育児というか子どものマネージャー業務は本当に体力勝負だと感じる。

さて、今回は珍しく娘が初めて「バイト」をするのに付き合ってきた。ベルリン郊外のバベルスベルクにあるスタジオで声の録音をするためだ。事前に該当するドラマの箇所と台本が届き、特にこれといった説明もないまま当日を迎えることになった。娘はいつも通り、練習は一度だけ、ほぼ一発勝負で臨むことに。ただ、こちらであらかじめ「日本語で」セリフを書き込み準備をしておくことにした。

今回のバイト、日本語補習校経由で知ったのだが、マネージャーだけあってメールが届いた5分後にはすでに担当者と直接電話でやり取りし、メールで日程の調整をしたのである。完全に仕事モードですぐさま連絡を取ってしまった。というのも、娘が普段から「アニメの声優さんとか興味あるわー」なんて話をしていたからである。

ん?興味あるって言ってたな。電話して聞いてみよう。

非常に短絡的行為である。娘には電話した後にこうこうこうでこういう話みたいやから、レッツトライ!と同時進行。

娘は案の定、目を白黒させながら「ママ、連絡早すぎやろ」と驚いていた。まぁ、これも予想通りの反応である。

そこは職業病なので許してほしいと思う。なんでもやらないよりやった方が経験になることは間違いない。もし、現場でどうにもこうにもならなかったとしても、それはそれでいい経験だと思うからだ。そして、何がきっかけでどうなるかなんて誰にもわからない。

届いたビデオ素材をふたりで確認しつつ、同じ考えが頭をよぎる。

うわー、これオリジナルの声が高すぎるのでは。というか、年齢も11歳、12歳ではなく、9歳か10歳だよなぁ。幼い。

ま、そこはできるだけ違和感のないように近づけるしかなさそうである。娘は不安そうにドラマを見ている。でも、娘が本番に強いことはマネージャーが一番よくわかっているのだ。できるだけ不安を和らげるために、オリジナル通りの声は誰も求めていないであろうこと、不自然になりさえしなければ問題ないということ、などを説得材料に使う。

最初は全く自信がない様子だったが、そのうち吹っ切れたのか少しは声が出るようになった。が、これでは本番では通用しない。

そして、迎えた当日。声が小さい!もっと大きな声で!もっと怒りながら!お腹の底から声を出して!もう少し高い声で行こうか。

ドイツ語でどんどん指示を出す女性ディレクターの助けを借りて、なんとか担当パートをやり通した。2時間半近くマイクの前に立っていたのだから、よく頑張ったと思う。「日本語を使って仕事ができる」という経験が学習のモチベーションに繋がるといいな、というのもマネージャーとしての狙いでもあります。

おそらく録り直しにはならないと思うが、オンエアーの日程が分かれば、またここに更新情報を載せておきます。ぺこり。

スタジオの入り口

追記:
入り口の看板にJHON WICK: CHAPTER 4という文字があった。まさか昨年の夏に話があった米映画のスタント通訳の件、この撮影じゃぁなかったよね!?ベルリンから毎日変則的に通えないから断ったんですが。生キアヌを拝めたのでは!?次からは断らずなんでもやりたいと思います。反省。職業病マネージャーも自分のことになると、子ども優先で考えてしまうのでチャンスを逃しがち。


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