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読書とスポーツの秋

日本滞在の6週間はこれでもか、というほど毎日暑かった。それこそ、1年分の汗を流し切ったのではないかというくらい、戸外に出るたびに大量に汗をかいた。あまりにも暑いので、ベルリンで何気なくやっていたリングフィットなどもピタリとやめてしまった。というか、暑さでバテることを想定していたので、リングフィット一式は初めから持ってこなかったのだ。

最近の日本の夏、それはもう茹だるような暑さなのである。それでも、35度を超える猛暑の中、たまにジョギングをしている人を見かけたときは驚いた。真似をしようものなら、数分で間違いなく倒れてしまうだろう。6週間の滞在中に自分も子どもたちも熱中症などで、体調を崩さなかったのが不思議なくらい。

そんな猛暑の日本からベルリンに戻ると、突然20度以上も気温の差があって面食らった。朝方は15度前後、最高気温も22度くらいで秋というより初冬では、という涼しさである。こんな気候であれば、身体も動かしやすい。そこで、日本で中古を見つけて購入したフィットボクシング2を嬉々として始めてみた。

ニンテンドースイッチのフィットネス系のソフトは本当によくできていて、「リングフィット」にも随分とお世話になっているが、「フィットボクシング2」も想像以上によくできているソフトだと思う。今日でちょうど始めてから1週間になるがこれで冬を越せるんじゃないかという感触すらある。定価の半額以下になっていたので、本当にいい買い物をしたものだ。しかも今、話題の「呪術廻戦」の五条悟の声優さんがトレーナーなのだから。そりゃ頑張れるでしょ。

カラダ年齢が最年少だったのものをスクショ

暑すぎる日本では運動も読書もなかなか進まなかったが、ベルリンに戻ってきたのとほぼ同時に身体を動かしたい!本を読みたい!という欲求が沸き起こった。読書の秋、スポーツの秋、と言われる所以でもあるのだろうが、とにかくベルリンではそれほどやること(エンタメという意味で)がないのである。カフェに行ったり、近所を散歩するくらいだろうか。

今週に入ってからまた夏日が戻ってきてはいるが、それでも日本の夏に比べればまだまだ過ごしやすい。それでも、もう夏日には懲り懲り、というのが正直な気持ちだ。「あー、あの涼しさはいつ戻ってくるんだろう」そんなことを言っているうちに、あっという間に寒くなるのがベルリンの常なんだろうけど。

さて、読書の秋、といえば、一時帰国の直前にたまたまSNSで見かけた「現代ロシア語文学講座」なるものに申し込みをしていたので、3日間の講座を受けてみた。東京外国語大学が主催しているオンラインコースだったので、授業は日本語。講師は沼野恭子氏、テーマは現代ロシア語文学。「ロシア文学」ではなく「ロシア語文学」と題されているのも興味深い。ロシア語で書かれた文学であれば、それがウクライナ在住の作家だろうが、ベラルーシの作家だろうが取り扱う、ということになる。実際、「ペンギンの憂鬱」の作者であるウクライナ出身のアンドレイ・クルコフやジャーナリズムを文学の位置にまで高めたともいえるベラルーシ出身であり、ノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの「セカンドハンドの時代」なども取り上げられた。彼女の作品では「戦争は女の顔をしていない」の方が有名かもしれない。彼女も2020年にドイツに向けて出国したはずだ。

クルコフ氏については新聞記事で「もう今後はロシア語で著書を出すことはないだろう」と述べられていたのが印象的だった。彼による「ウクライナ日記」もKindle版を購入済みだがまだ未読なので近々読んでみたい。

とまぁ、自宅に積読されている現代ロシア語文学について、沼野先生が非常に体系的に時代背景と共に紹介して下さったおかげで、バラバラだった知識が整理されたのである。整理されただけでなく読書欲も湧いたし、なんならロシア語学習への興味が再燃した。たった3日間の講座の影響力といったら!感謝しかない。

そんなわけで、今はソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」を読んでいるところだ。

ロシア語学習についても、先週、たまたま市民大学と呼ばれるVolkshochschule (VHS)でオンライン講座があるのを見つけたので、残り1席のところに滑り込みで申し込みをした。B1の講座だが、受講者の中にはドイツ語がそれほど堪能ではないロシア系ドイツ人?やポーランド人などがいて、達者な人はほぼネイティブ並みのロシア語を話していた。会話の内容はほぼ理解できるが、とにかく語彙が少ないのでこれを機会にもう少し文法の復習や語彙の獲得に尽力してみたいと思っている。なぜ、今ロシア語を習うのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、偶然「現代ロシア語文学講座」を受けたことがきっかけというだけでそれ以上でもそれ以下でもない。自宅に積まれているロシア語の本を少しでも理解したいだけなのだ。

ベルリンに住んでいるのに、自分からドイツ(語)文学をほとんど手に取らないのも実は少し不思議には思っている。カフカは読むけれど、オーストリアの作家だしなぁ。

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