ギムナジウムの保護者会

「ドイツだから勝手がわからない」という以前の問題で、日本でも昔からPTA系の会合が苦手なタイプだった。大学生の時に奈良の母校で、教育実習生として中学2年生と高校2年生相手に英語の授業をしたことがある。6年一貫の学校だったのだ。確か1週間くらいだったと思うが、その時の担当教員に「英語は教えられるかもしれんけど、生徒指導とかPTAで親の相手するのが無理やろ」と言われたのだ。

そうだ、(特に日本の)先生と言うのは担当教科を教えればいいというものではない。どうでもいいことが多い校則について生徒指導をしたり、PTAで親の相手もしなくてはいけないのだ!そんなの無理、というかやりたくないではないか。

こうして楽しかった教育実習は呆気なく終わってしまったわけだ。生徒たちには「先生が今年の教育実習の先生の中で、服装とかが一番先生らしくなかった!」と言われた。これは果たして褒め言葉だったのか、そうではなかったのか。なんとも微妙な評価である。

そうそう、そんなわけで昨日も嫌々、娘の入学することになったギムナジウムに向かったのだ。娘の通うギムナジウムも日本の中高6年一貫教育の学校に近い。主に大学進学を希望する子供たちが通う学校である。

面倒だよなぁ、どうせまた話が長いだろうし。つまらないオーラを放っていたせいだろうか。トラムの停留所でギムナジウムの生徒に絡まれた。

こちらに向かって何か言ってるので「放っておいてくれないかな。行きたくもないギムナジウムの保護者会に嫌々行くところで気分が良くないから。」と言っておいた。乗り乗りのティーンエイジャーの相手も面倒だったからだ。

ところが、ギムナジウムの保護者会というところに彼らは反応した。「え、ギムナジウムに通ってる子供がいるの?男の子、それとも女の子?」それ、聞いてどうするんだ。そうは思いつつ、面倒だし「女の子だよ。」と返すと「いい子?」("Ist sie nett?")と畳みかけてきた。

めんどくさいなー。ギムナジウムの年頃の男子。

「もちろんそうだけど。」と言うと、「ま、これでも持って行って。つまんない保護者会に役に立つから!」とオレンジ色の小袋に入ったメントスをくれた。なんだ、いいとこあるじゃないか。なんなんだ、このやりとりは。それはそうと、やり取りした子たちが通っているであろうギムナジウム、エリートが集まっていることで割と有名な学校なのである。

メントスをもらったのは幸先がいいが、乗り継ぎのトラムが待てど暮らせど来ない。早めに家を出たのに、学校に着いたら開始時間を10分ほど過ぎていた。初回から遅刻なんてほんと面倒くさい。

目指す教室は割とすぐに見つかったし、まだ始まって間もない頃合いだったのでタイミング的にはちょうどよかった。娘の新しい担任の先生はコロンビア出身の男性で、耳には黒のピアス、首からは黒のオーナメントのついた飾り、腕にもアクセサリーが付いていた。なんというかファンシーな雰囲気でドイツ人にはないノリの良さである。保護者も人数が多過ぎて全く把握できなかったが、各役員もさっさと立候補者が出た。終わったのは予定時間より15分以上も早かった。素晴らしい。

11月半ばには担任と面談があるようなので、どんな展開になるのかちょっと楽しみですらある。

結局、もらったメントスは食べずに終わってしまった。

なかなか来ないトラムを延々と待っていた時に撮った動画を貼っておきます↓




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