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ベルリンに来て3年目

以前はノートに手書きで日記のようなものを書いていた。久しぶりに何冊か引っ張り出して当時の自分が書いたものを読んでみた。

1998年の日記には「家」について思ったことを書いている。

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この家はなんというか自分の家みたい。

そういう場所がどこにでもあるもんだ。

そういう場所に共通しているものって一体なんだ?そもそも家ってなんなんだろう?

手の届く場所に好きな音楽があって、冷蔵庫にはある程度ものが入っていて。気持ちよく風呂に入れて、安心して眠れるところがあって。気心の知れた人がいて。自分がいつもそこに座って本を読んだり、物を書いたりするところもあって。

ひとりになろうと思えばなれて。

これだけ揃えばもう立派な家になるのだろうか、などとモスクワの家で考える。

だから、その家に集まって生活しだすと、だんだん住人たちは家族のようになってくるんだ。血の繋がりがどうこういう前に。ただ家族という枠も全く確かなものではないので、その微妙で絶妙のバランスにドキドキしながら毎日を過ごすのかもしれない。無意識のうちに。

2月16日から3月28日まで2年ぶりに日本にいた。
28日の夕方から4月3日の朝までベルリンにいた。
4月3日の夕方から今日は14日で、もう2週間くらいここモスクワにいる。

2ヶ月半で3つの場所。

生活環境も人間も同じようで全く違う。

時間が一番あるのはモスクワ。なぜなら生活していないから。休みだから。

一番ないのは日本。滞在期間が限られていたし、たまにしか帰らないから。

忙しいけれど充実しているのはベルリン。

やっぱり今はまだベルリンだな。

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「記録しないと物事はただ過ぎ去るだけ」サルトルか誰かがこんなことを書いていたのがきっかけで日記をつけ始めた、と話してくれたのは一度仕事でご一緒させていただいた浅葉克己さんだっだ。

ベルリンに来たばかりで、右も左もわからなかった頃の自分の心情なんて20年以上も経った今でははっきりとは思い出せない。

こうして少しでも当時の気持ちを書き留めておいて良かった。

「毎日note」を読み返して懐かしく思う日も来るんだろうな。

*タイトル画像は当時のノートに書いて貼り付けたイラストです

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