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トス(セット)、レシーブにサーブ

9時10分からのブリーフィングに間に合うように向かったら、もちろん一番乗りだった。みんなが揃ったのが20分頃だっただろうか。チームリーダーが「今日は時間通りに来てくれてありがとう!」と言ったので思わず「いつも遅れてくるの?」とツッコミを入れてしまった。突っ込まずにはいられない職場なのである。ゆるい、ゆるすぎる。というか時間通りに始めてくれ。

おまけにスタッフの人数も今日は全体的に少なすぎる。どうやら例の病気休暇(Krankschreibung)で病欠しているスタッフが多いらしい。まぁ、夏休みだからな、ではなくちゃんと働いてくれ、と言いたくなるくらいごそっと人がいなくなるのだ。なんとなくこのタイミングで雇われた意味がわかるような気がした。なんだかんだで人手が足りなくなりがちなのだろう。

今日は2度目のレクリエーション部門に配属されている。人がいないものだからしょっちゅうあちこちでひとりになるが別にひとりでも十分にこなせる作業内容なので問題はない。トイレや休憩に行くタイミングだけ別のスタッフを待つしかないくらいだ。朝方はやることもそれほどないので、少しだけシューティングをしたり、空気の抜けたボールに空気を入れたりして過ごした。

昨日の暑さが嘘のように今日は涼しい、というか外にいると強風や小雨にさらされるので寒いくらいだった。体育館の気温を書く欄を見ると、昨日は36度まで上がっていた。今日はまだ22度前後である。これでまた体調を崩すスタッフがいるらしく、チームリーダーが早退していた。無理をして働く人などどこにもいないのである。さすがドイツ。まだ2週目だがすでにふたりほど早退しているスタッフを見かけた。病欠に関しては何人もいるらしい。風雨にさらされたせいか頭痛がする、と言って薬を飲んでいるスタッフもいたので、明日もさらに人が減るかもしれない。やれやれ。

今週は先週とは違い、よく話すスタッフとのタッグがなかったため暇な時間が多かった。暇とはなんなのか。暇になるような仕事はあまりしたことがないので非常に不思議な気持ちになっている、というのが正直なところだ。仕方なくこのnoteの下書きをしていたくらいである。

さて、サッカーをしていた3人組が「そろそろ家に帰るよ!」と言っていたのを耳にした。それを聞いて「家に帰る」の意味を考えてしまった。ここは難民到着センターなのであくまで仮住まいである。ただ、親が子にベッドに戻るよ、テントに戻るよ、と言わずに「家に帰るよ」と言う意味の重さを感じたのだ。仮住まいとはいえ、彼らにとって寝る場所、帰る場所が家なのだろう。これまで暮らしていた家がなくなってしまった人たちなのかもしれない。さすがにそこまではわからない。

いつも少し暗い表情をしている若い男の子がいるのだが今日もひとりで残ってバレーボールをしていた。なんとなく声をかけるとサーブの打ち方を教えてくれたり、トスやレシーブの練習を一緒にすることになった。わずかな時間でも気がまぎれたのなら本望である。「ありがとう」とロシア語で挨拶をして別れた。

明日はどんな日になるのかな。


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