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たかがサッカー、されどサッカー

油断していた。サッカークラブのアプリの調子が悪くて、今週末は試合がないと思いこんでいたからだ。

金曜日の夕方、サッカーの練習から帰ってきた息子が「なんかまた週末に試合あるって言ってたで。どこかはわからんけど。」と一言。

小学校は何もかもゆるいくせに、ことスポーツクラブとなると、突如として厳しくなるベルリン。特にサッカーに関しては熱くなりがちな国民性も手伝っている気がする。

アプリを再起動して確認すると、「集合時間8時」とあるではないか。どうやらメンバーにも選ばれているらしい。場所を確認すると、車で36分、市内交通利用だと47分とある。

土曜日の朝の10分は貴重だ。6時半起きなのか、それ以前なのか。仕方がないので、相方に行きは送ってもらうことにする。昨年の夏頃はシェアカーを利用して配達業務なんかもしていたのだが、ロックダウンで行くところがなくなり、車にまた乗らなくなって半年以上になるだろうか。

乗らなくなってから、また心理的なハードルが上がってしまった。乗り初めは少なくとも月に2回は乗らないと、すぐさま乗る気が失せてしまう。これって、もはや苦手意識でしかない。「できることなら避けたい」という非常に消極的でいやーな気持ちを抱いてしまう。厄介なことだ。

しかし、土曜日のサッカーの試合に行くのに、義母の家に行かなくてはならない相方に毎回連れて行ってもらうというのもどうかと思うのだ。自転車も早いところ修理に出して、運動も兼ねて息子と試合会場に向かうというのも一案かもしれない。

さて、そんなわけで7時半頃に家を出て、サッカーグラウンドに着いたのが8時過ぎ。こんなところ、用事がないと出向くことはないという未知のエリアだ。市内からひたすら東へ30分強走ったところにあるグラウンドだった。

少し霧で霞む朝の冷気の中、先に着いていた親たちと挨拶がてら少し話をする。そう、今日は何と言っても真っ先に帰りの足を確保する必要があるからだ。

「このエリアはさすがに知らなかった。みなさん、この辺まで来たことあります?」とか何とか言って遠いですよね、来るの大変でしたよねアピール。

「誰か帰り乗せて行ってもらえませんか?こっち方面に帰る人います?」と聞いたら、「いいですよ。」と言ってくれた父親がいた。わりと静かな印象の人で顔は知っていたが、問題は誰のお父さんかさっぱりわからなかったこと。車に乗せてもらうまでに、せめて子どもの名前くらい把握しておかなくては。

サッカーチームにはかれこれ3年は在籍しているはずなのに、なぜいまだに子供とその親を把握していないのか、と疑問に思われた方もいるかもしれない。

試合には何度も息子と出向いたことがあるが、普段はさっと行って試合を見て、そのままサッサと帰る、という非常に愛想のない感じだったからである。先週末は成り行きで販売スタンドの手伝いをしたが、ここまでほぼ誰とも知り合いにならずに来てしまった。

今日はそんなわけで、出だしからいつもよりかなりテンション高めの参加になり、それはそれでとても楽しかった。人と知り合うきっかけなんて些細なことで十分なのだろう。さて、来週は一体何時にどこへ駆り出されることになるのやら。



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