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ゴジラの記憶 #17 「ゴジラVSビオランテ」

ここから先のゴジラ映画は、一応全部劇場で観ている。この映画が公開されたのは1989年の年末。平成ゴジラシリーズでは一番SF色が強く、大変よくできた「大人向け」のゴジラ映画であった。冒頭の、昔懐かしいドット文字の表示で、「へ~、怪獣災害って国土庁の所管になるんやぁ」と妙に感心した記憶がある。ただ、いかんせんゴジラが出てくるまでの時間が長い。一応、前作から引き続くストーリーということで、冒頭にゴジラ(1984)のクライマックスがタイトルロールとして流れるのだが、そこから今作のゴジラ出現までが長い!!爆発する三原山を背にゴジラが出てくるまで、約100分の上映時間の内40分を費やしている。

それまでのG細胞の争奪戦など、大森一樹監督は軽快に描いていて、大人が観れば退屈することないのだが、まあ、ゴジラ観たさのお子ちゃまたちは飽きてしまう。と、いうわけで公開当時の劇場の様子は、焦れた子供が客席を走り回り、騒ぎ出すという中々カオスな状況だった。まあ、今のシネコンでは絶対に許されないことだろうが、この頃はまだ、かように自由だったのである。

しかし、この映画と、次の「VSキングギドラ」で平成ゴジラシリーズの方向性が決まり、東宝を代表するシリーズになったのは間違いなく、自主制作映画出身で、「ヒポクラテスたち」のような自伝的作品から「風の歌を聴け」、はたまた吉川晃司や斉藤由貴のアイドル映画と幅広い作風の大森一樹監督は私の中ではこの点で「ゴジラ中興の祖」のイメージが強いのである。あと、この映画にはゴジラと心を通わす超能力少女・三枝未希が初登場するというのも外せないだろう。彼女は結局、この後、シリーズが終わるまでずっと出ており、「平成ゴジラシリーズ」は同時に三枝未希の物語でもある。演じられた小高恵美さんは今は女優を引退しているということだが、10代後半から20代前半という女優としてだけではなく、一人の女性としても最も変化が著しい年ごろが、こうしてほぼ毎年フィルムに記録されているというのは貴重なことである。

そんなSF色の強いこの映画にも超兵器として「スーパーX2」が出ているのは平成ゴジラシリーズのお約束で、そのオペレーターの自衛官役で出ているのが、無名時代の豊原功補と鈴木京香。豊原功補は次の「VSキングギドラ」で主役になり、鈴木京香は言わずと知れた大女優。映画を観る限り、ありったけのミサイルとバルカン砲をぶちかます豊原功補の方が上官っぽいが、実年齢は京香さんの方が2歳お姉さん。と、いうことは運行管理担当だった彼女の方が上官だったのかも?などと妄想すると、あのクール・ビューティっぷりも更に趣深くなる。
まあ、このスーパーX2自体、公開当時は「こんなものできる訳あるかい!」と思っていたけど、考えてみればこれ超大型ドローンだよね⁉アメリカとかが持っている無人爆撃機とやってることは大差なく、「シン・ゴジラ」には実在兵器として出てくるのだから、う~ん、この30年の技術の進歩は偉大である。まあ、まだメーサー光線は実用化されていないけど(笑)


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