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制度を活用する側の責任とは

・厚生労働省のオンライン診療検討会では現在、緊急避妊薬の処方について、初診対面診療の原則の例外にするかどうかについて議論が行われている

・エムスリーが運営する医療従事者の情報ニーズに応える会員制サイト、m3.comが会員を対象に行った意識調査では、「初診は対面であるべき」との回答は開業医で60.2%、勤務医で46.1%と差異が見て取れた

・OTC化の是非については、「すべき」の割合は開業医で最も低く29.4%。勤務医で40.4%、薬剤師で44.3%、その他職種で50.0%だった

日本において、緊急避妊薬(ピル)を入手するには医師の処方箋が必要だ。

しかし、入手するまでには「処方してくれる医療機関を探す」ことや「約13,000円を現金で支払う」などいくつかハードルがある。そもそも婦人科に行くことそのものが心理的なハードルとなる人もいる。

これらをクリアにする一つの方法がOTC化、つまり薬局でも購入できるようになるということだ。

実は2017年に一度OTC化は導入を見送られている。厚生省はアフターピルの市販化を検討していたが、日本産科婦人科学会や日本薬剤師会など検討委員のメンバーは「日本は性教育が遅れているので、この薬の意味を国民がきちんと分かって使用することができない」などの理由から否決。市販化には至らなかった。

しかし、最近改めてOTC化が議題に上がるようになってきた。

OTC化することについて「緊急避妊は、医師に話しづらい事情も多く、比較的リスクの少ない若い女性に多い。女性(特に若い女性)が、婦人科に行くのはハードルが高い。緊急避妊薬を使える時間は短いので、悩む時間ももったいない気がする。人工中絶にならないよう、緊急避妊を選択しやすい環境を整えてほしいと思う。」と述べる医師もいる。

また、「将来的にOTC化は賛成だが、若い頃から海外のようにきちんとした性教育をされていない状態では問題があると思う。小学生・中学生での性教育を逃げずにきちんとしたうえで開始するのが良いと思われる。」と主張する医師も。

NHKがミレニアル世代を対象に行ったアンケートでは、「セックスの知識はどこで覚えたか」という質問に対し、「友人や先輩」「アダルトビデオ」と回答した割合が50%にのぼるなど、学校教育の存在は薄い。本来であれば、この教育制度こそが性に関する正しい判断・主体的な選択を助ける要になるのは間違いない。

制度を整備するのはもちろん必要だ。けれど、それ以上に制度を利用する私たち自身が正しい知識を身につけるのが重要であり、責務とも言える。学校教育で賄えなければ、せめて一次情報にアクセスする術を体得してほしいし、私個人としてはそれに役立つ情報を発信していきたいなと思っている。


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