3ヶ月のフル出社経験から考えるハイブリッドワーク

オフィスワークとリモートワークを再考する

2022年3月、東京都のまん延防止等重点措置が解除され、2023年3月にはマスクの着用が個人の判断に委ねられました。それにともない、自主的に出社する人やオフィス回帰を推進する企業、またフルリモートを加速させる企業など、オフィスワークとリモートワークの動向に目が離せませんでした。

私の組織は、ハイブリッドワークです。個人の状況や好みに応じてオフィスワークとリモートワークを選べるのは、生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの促進を期待できます。一方で、オフィスワーカーとリモートワーカー、いわゆる"出社組"と"リモート組"の間で生じる分断リスクが心配です。

現在、重大な問題はないけれど、なんとなくモヤモヤする、少し引っかかることがあり、より効果的なハイブリッドワークを考えるようになりました。そこで2023年9月から11月の3ヶ月間、それまで原則リモートワークだった自分のスタイルを、原則オフィスワークに切り替えることにしました。

このnoteは、3ヶ月のオフィスワークを経験を踏まえ、オフィスワークとリモートワーク、そしてハイブリッドワークについて再考したものです。


やっぱり出社のほうが仕事しやすい

3ヶ月出社を続けた感想を一言でいえば「やっぱり出社のほうが仕事しやすい」です。厳密にいうと、出社している人同士での協働においては明らかに効果がありました。自分から話しかけるハードルは下がるし、相手から話しかけれられる機会も増えました。他の人達の相談話を小耳に挟んで、自分から助けを申し出ることも、雑談に参加することも、ランチタイムに他愛のない会話をすることも。

余談ですが、私は通勤電車が苦痛だと感じていましたが、実際に出社することで運動不足や読書習慣の乱れが解消され、意外にも肯定的な経験となりました。

話を戻すと、オフィスワークでは仕事がしやすく、その要因はコミュニケーションや人間関係の構築がしやすいことだと考えています。裏を返せば、リモートワークでは、上手くやれていたと思っていた人間関係づくりも、オフィスワークの水準には達していなかったのです。


人間関係をつくることも仕事

再認識させられたのは「人間関係をつくることも仕事」です。積極的に情報共有するには、こまめにコミュニケーションするには、率直な意見を交わして協働するには、良好な人間関係が必要です。

人間関係は、誰かが自分の代わりに構築してくれるものではありません。誰かがチームビルディングのイベント、ランチ会、飲み会、ボードゲーム会などを企画してくれたり、心理的安全性の勉強会、コミュニケーションガイドラインの制定などの環境づくりを進めてくれたりするかもしれません。それでも、最終的に人間関係を築くためのアクションを起こすのは自分自身です。

このような点から、最近のオフィス回帰の流れは、環境や機会を整えても、積極的なアクションを取らない従業員に痺れを切らした結果かもしれません。私はリモートワークも好きなので、その選択肢を残すためにも、人間関係をつくることも仕事のうちだと考えて、行動したいですね。


出社組とリモート組

出社する人も増えてきた頃からこんな話をよく耳にします。
「Aさんが出社しないのでコミュニケーションが取れない。」
「出社組だけで話しているので、置いていかれる。」
「リモートワークしていると、疎外感がある。」
といったものです。そしていつしか"出社組"、"リモート組"と呼び合い、少しずつ分断が始まります。

オフィスワークとリモートワークではそれぞれ一長一短があります。出社しているメンバー同士のほうが、人間関係の構築、議論、情報共有のハードルが低く、機会が多い。リモートワークではより一層の工夫と積極的なアクションが求められます。

「人間関係づくりも仕事」であり、「オフィスワークのほうが人間関係づくりが容易」となるとオフィス回帰に帰着するのは自然なことだと思います。しかし、コミュニケーションの不均衡、情報の不透明さ、信頼や関係性の不足、これらをリモート組の責任とするのは、なんだかモヤモヤします。オフィス回帰の大号令が発令されない限り、ハイブリットワークでは、出社組が優位で、リモート組は肩身が狭くなる。そんな分断が生まれるような構図にはしたくはありません。

出社組とリモート組の二項対立にしても、全員が出社、全員がリモートのどちらかに行き着くまで問題は続きます。そうであれば、今は出社組とリモート組の垣根を超えて、1つの組織としてハイブリットワークのあり方を模索するのが良さそうです。


オフィスからリモートワーク

私の考えた解決策は「オフィスからリモートワーク」です。たとえオフィスに出社したとしても、リモートワークと同じように振る舞うのです。Teamsでコミュニケーションを取り、Notionで情報を共有する。物理的なホワイトボードに書いた後は、FigJamに写真を貼ったり、清書する。概念的に私たちが働く場所は、オフィスビルそのものではなく、常にデジタル世界であることがハイブリットワークのあり方だと考えます。

出社をしている人からみると、リモートワークをする自宅は密室ですが、リモートワークをする人からみれば、オフィスも密室です。チャットツールでDMを原則禁止にしたい理由は、オフィスに出社している人同士の会話にも当てはまるでしょう。

とはいえ、円滑なコミュニケーション、顔を合わせて直接対話するために出社しているのに、それをデジタルツールでやるのは元も子もない話です。一方で、リモートにいる大切な同僚を置き去りにするのも見過ごせない問題です。

オフィスからリモートワークをするための具体的な方法はまだ模索中ですが、希望が持てる状況でもあります。最近読んだ『GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた』に、いくつかのヒントを見つけています。


自分の選択に責任をもつ

今回はオフィスワークとリモートワークを、仕事のしやすさを切り口に考えましたが、それ以外にも観点はあります。個人の状況は多種多様で複雑ですし、好みに応じたスタイルがあります。例えば、私は3歳の娘がいて、保育園の送り迎え、夕飯の支度を考えるとリモートワークを選びます。

大切なのは、どちらを選ぶにせよ、人間関係づくり、そこから派生するコミュニケーションや情報の透明性に責任をもつことです。自らの選択に責任を持ち、働き方に合わせた工夫をし、組織で成果を出すことに注力することが不可欠だと考えています。


このnoteは、NSSOL Advent Calendar 2023の4日目の投稿です。


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