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目的地まで連れて行ってくれる彼と一人で行けるようにしてくれる彼


今までレゴ作成をしてきたが、何故私が空間認知能力を向上したいと思ったのか。
きっかけになったことを思い出したので書いてみる。

独身の頃、月に一度程度会う男友達がいた。
彼はいわば「歩く食べログ」で、よくおいしいごはん屋さんに連れて行ってくれた。
私はおいしいごはんを食べるのは大好きだが、お店情報には疎く、彼によく連れて行ってもらった。
男女の関係はない。けどお互い恋人もおらず、どちらかが歩み寄ればそんな関係になってしまいそうな間柄だった。
恋愛感情は私はないが、発展はなくはない…お互いの消極的な人柄があってこそ、成り立った関係だった。

彼はおいしいごはん屋さんを見つけてきては、私を誘ってくれた。
連れて行ってくれるごはん屋さんはいつも本当においしかった。

ただ、一つ。場所が駅から遠い。そして分かりづらい。地図の読めない私は絶対に辿り着けない。
そのため、駅で待ち合わせをして、そこから彼についていっていた。
いつも15分くらい歩いていたような気がする。
その間、よく話をした。
「最近、どうなん?」
「全然変わりないよ、仕事だるいなーって感じ」
などというような、本当にくだらない話である。
そして毎回、お互いに恋人がいないことを報告しあった。
いつも通り終電の少し前くらいに、お店を後にした。
帰り道も、引き続きくだらない話をした。

「彼氏できた?」
「できないよ~」
「どんな人がタイプなん?」
「んーどんな人だろう…」

駅までの道のりで、私は考えた。
どんな人がタイプなのか、ぶっちゃけ分からない。
芸能人ならこんな人が好き、とかはあるけれど、恋愛となると分からなくなる。
いつも「優しい人」とか嘘ではないけどあまりにも解像度の低い人物像を言うのがお決まりだった。
だから、違うことを言いたいとは思うけれど、思いつかない。
んー何かな。私にないものを持っている人…そうだ、思いついた。

「んー。地図が読める人かな。」
「地図、読めないの?」
「うん、めっちゃ苦手。今もどこ歩いてるか分からないから、ついていってる」
「まじで?さっき来た道なのに?」
「まじで。来た道を戻るのすらままならないのが私だ。」
「ふーん。でも、女の子は地図が読めないくらいでいいよ。俺が連れて行ってやるやん」
「…あ、ありがとう」

彼が「男」を出してきたのでちょっと狼狽えた。
俺が連れて行ってやるやん。
いつもは絶対にそんなこと言わないのに。
ありがとう、とは思ったものの、何故かときめかなかった。
ここで少しでもときめいていたら、私は彼のことを意識し始めたかもしれない。でも、ときめかなかった。

時は経ち、今の夫とお付き合いをしている時のことである。
彼と初めて行く土地のデートで、お互いに土地勘がなかったので、駅に掲示してあるマップを見た。
「あー行きたかったのはこっちだね。じゃあもうちょっと西に進んでから曲がればいいか」
「すごい!私、地図読めなくて全然分からなくて…」
「地図、読めないの?」
「うん、めっちゃ苦手。今もどこ歩いてるか分からないから、ついていってる」
「まじで?じゃあ、一緒に読めるようになろう!」
「…!!が、がんばる!!!!!!!!!」

私はときめいた!!!!!!めっちゃときめいた!!!!!!!!!!!

自分も成長させてくれる人だと確信できたからだ。
どちらかがいいというわけではなく、俺に任せろ、ではなく、一緒にできるようになろう!と言ってくれる方が、私はときめいたのだ。

このことがずっと私の心の隅っこにあった。
だからこの人と結婚して、私は空間認知能力を高めたいと思ったのだと思う。

結婚してから自分の成長のことばかり考えているなんてよくないのかもしれない。
でも、できないことをできるようになるのは楽しい。
そんなチャンスを逃したくないと思っている。

これが、空間認知能力をつけようと思ったきっかけだ。
地図を読めるように、少しずつ慣れていこうと思う。

皆さんは、どちらの言葉がときめきましたか?

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