素顔のままで

いつからだろう、僕が素の自分を出せなくなったのは。
電車に揺られながらふと考えてみる。
時刻はもう21時を回ろうとしている。
初めて見る景色の中、自分の人生ってなんだったんだろう、と考える。

好きなとあるゲームの中にこんな一節がある。
「あの笑顔は、他人から自分を守る盾だった。」

人前で笑顔で誤魔化していれば、大丈夫でいられる。へこむのは1人の時間だけでいい、ずっとそう思っていた。なんなら今もそう思っている。
1人でへこんでいる分には誰にも迷惑かけないし、人に気にしてもらって、自責に駆られることもない。今までそうやって生きてきた。そうやって生きていかなきゃいけなかった。そうでもしないと、自分の中の時計も止まり、周りからの冷たい目線だってなくなることもない。
理性で感情を抑え込むのだって、もう簡単だ。

「君は君らしくいてね」
とある人に言われた。

この先色々な経験をして、色々なことを忘れていくのか、と思うとわくわくする気持ちもあるが、少しさみしい気持ちもある。
でも、自分が思うこと、自分の人生が外からの力で大きく変わることはない。
人生を変えてくれるような人に出会っても、結局は自分で行動しているのだ。

自分を認めてくれる人がいる限り、僕はその人を信頼しようと思う。

「ドアの外じゃ ありのままではいられないけど
    せめてこの場所だけでは あなたの前だけでは
    僕の前だけでは 素顔のままで いてほしいよ」



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