見出し画像

死刑判決

 京都アニメーション放火殺人事件の被告に死刑判決が言い渡された。
 人の命を奪った人に、別の人がその命を奪うことを決める。そのことが果たして倫理的、人道的に正当化されていいものかどうか。死刑制度の是非について、自分の中にははっきりとした結論はまだない。というより、何か起きる度に常に揺れ動いている。
『デッドマン・ウォーキング』は、死刑囚と修道女の心と心の交わりを描いている。オペラ化もされて、今シーズンのメトロポリタン歌劇場でも上演。自分は映画館でそのオペラ作品を観る機会があった。
 どんなに惨たらしい犯罪であっても、言い訳できないような独善的な理由の卑劣な行為だったとしても、それでもやはり、死刑は形を変えた殺人には違いない。死刑囚も、事件の被害者の家族や関係者も、そのどちらの魂も、死刑によって救済されることはないのではないか。そう思うと心は乱れるのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?