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自分はいわゆる「映画好き」ではない。「映画愛」などと連呼するのは恥ずかしいし、もはや惰性で劇場に足を運んでいるだけだ。ミルクせんべいのミルクだけを舐め取る行為は許されないから、全部食う。でも、ミルクせんべい自体の味を愛してはいない。近くにあるから思わず口に入れてしまうだけである。

 だから、俺は「映画好き」ではない。


今年の初めまでは確かにそう言えた。平和な話である。


コロナが沈静化すれば、俺はまたシネ・フィル相手の当てつけを始めるだろう。ゴダールの新作を「分からなかった」という人間がいれば「今度のは一番単純だった」と言うだろうし、「分かりやすかった」という人間がいれば、「ゴダールをなめるな!」とか言うだろう。半年に一度は登場する「アジアの新たな才能」の作品には爆睡するだろうし、古いフランス映画のリバイバル上映に足を運んでは「やっぱり映画はこの時代がピークだったよね」とか余計なことを言うだろう。ヨーロッパのアニメーション映画を観ては「に、日本の萌えアニメとは違ってるね・・・」と言って、感想をはぐらかすだろうし、インド映画を「ボリウッド映画」と呼ぶことをなんか恥ずかしいと感じてしまうだろう。「映画とか特別好きなわけではない」とか、また言い出すかもしれない。

そんな気楽で呑気な日々が戻ってほしい。そんなクズのような俺を返してほしい。俺は映画が好きだ。映画館や映画に関わる人達が好きだ。どの映画館も消えてほしくないし、消えるべきではない。


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