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色彩の教科書(6)色と温度の密接な関係

色と温度には大きな関係がある。一つは、温度計に表示されるような物理的な温度を変えてしまう力。そしてもう一つ、私たちがイメージとして感じる温度にも大きな影響を与える力だ。
例えば黒い車と白い車。実験によると、同じ直射日光の下では、白い車の屋根が51度なのに対して黒い色は71.5度まで上昇する。これは白が放射熱を反射し、黒が吸収する性質を持っていることによる。冷蔵庫などが、白色家電と呼ばれ、白い色が中心なのも、この放射熱を防ぐためだ。
色と温度の関係は、人間の心理的な部分にも及ぶ。色には暖色と寒色というグループがあるのだが、この違いによって、人が感じる温度はまったく違ってくるのだ。
例えば、赤、オレンジ、黄色などの暖色系は人に太陽や火を連想させ、心理的に暖かいイメージを与える。これとは逆に青、黄緑、青緑などの寒色系は、水や氷、空などを連想させるため、心理的に冷たさ、寒さを感じさせる。こうした気持ちの変化は身体にも影響を与え、実際に身体が温まったり冷えたり、という現象も起きる。この暖色と寒色の間に起きる暑さと寒さの感じ方の差は3度もあるといわれている。つまり、部屋の色を寒色から暖色に変えることで、暖房の温度を3度あげるのと同じ効果が得られことになる。

部屋の色によって、温度に対する感覚に3度の差がでる

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