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60歳からの古本屋開業 第5章 第1回 Apple書房 最高経営企画会議(5)

登場人物
夏井誠(なつい・まこと) 私。編集者・ライターのおやじ
赤羽修介(あかば・しゅうすけ) 赤羽氏。元出版社勤務のおやじ


蔵出しブログ

 絶版本に続いて、ブログなどのSNSで公開してきたコンテンツやひそかに蓄積してきたネタを集めてみる。
 これもnoteに公開してゆくのだ。

その1「変な人」

 現在、書下ろしコンテンツとしてnote上に連載しているネタがこの「変な人」
 50歳代後半から現在進行形の今までに目撃した「変な人」について書いたものだ。
 どうも私には「体調が良いと変な人に出会う」という特異な体質があって、天気の良い日などに駅前をルンルン歩いていたりすると、結構な確率で変な人に出会う。
 一つには、なんて事のない私鉄沿線の、古い町ゆえ平均年齢が高い(つまり自分も含め年寄りが多い)町に住んでいるうえに、昼間から町を出歩いている、というのもあるのだろう。
 この「変な人」の第1回、今でも思い出すと笑ってしまう「変な人」はこんな衝撃的に素敵な方だった。

 男は大きなカバンから下着を取り出すと、そのカバンをロッカーにぎゅうぎゅうと押し込む。
 そして、ロッカーを閉め、鍵を隣のロッカーに入れる。カバン用と洋服用に別のロッカーを使うつもりらしい。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

再び男の口から、歓喜のタメイキが聞こえる。そして上着を脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

ズボンを脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

シャツを脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

 止まらない。あのクラシックの名曲「ボレロ」を聴いた時のように、私の頭の中がオヤジの「ヨォーーシ、ヨシヨシ!」でいっぱいになってくる。

靴下を片方脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

もう片方を脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

パンツを脱ぐ。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

タオルを手にする。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

浴室の扉を開ける。

ヨォーーシ、ヨシヨシ!

 この時の「ヨォーーシ、ヨシヨシ!」は、歓喜のフィナーレに向かって少しずつトーンを上げていくように心に響いた。
 私は、感動で胸が熱くなっていた。

変な人 (1)池袋、幸せの「ヨォーーシ、ヨシ」おやじ

 ああ、また会いたいな、「ヨォーーシ、ヨシ」おやじ。
 銭湯であれほど幸せそうにしている人には、後にも先にも会っていない。
 今日も幸せにお酒を飲んでいるのだろうな、と想像しただけで心が温まる。
 ほかにも私が出会った40人くらいの「変な人」がいるのでよかったらご覧ください。

その2「今夜も茶色飯」

 さて最後は「今夜も茶色飯」。これは蔵出しではなく現在進行形。
 毎日ではないけれど、自分で作る夕食を改めて眺めると、これがもう、おいしそうではあるが茶色ばかり。

そう。余計なお世話である。
(C)谷口菜津子/ぶんか社

 ということで、ひたすら実録写真を載せ続けているだけのもの。
 例えばこんなご飯を主にいただいております。

やっぱり今夜も茶色飯。

 写真ではわかりませんが、暇にまかせて、お味噌汁は「こんぶ」「にぼし」「鰹節」から出汁を取り、厳選信州みそを使用。お米も特別栽培米。これが本当に美味しいんだ。
 あー腹減ってきた。

 ほかにも見事に茶色な、腹が減るごはん画像ここにあります。

音声コンテンツも作っちゃいますか?

 ここまで新旧いろいろなコンテンツを思い出と回想と現実ごちゃごちゃに回想してきたが、いよいよボーン・トゥー・ビー・ビートルズファンの赤羽あかば氏発案、
「こんな面白いビートルズ話を毎回してるんだから、これ録音してWebラジオで流しちゃいましょうよ」
 題して「Beatlesレディオ」。
 酔っ払い特有のノリノリ宣言のもとに約束した録音日(という名の自宅飲み会)が、いよいよ迫ってくるのであった。

 盟友赤羽氏のライフワークともいえるビートルズネタ。
 収録は秋の終わりかけたある週の金曜日に行われた。
 まだ夏の温かさの余韻が残り、空は秋晴れの晴天で、「こんな日はビールがうまいぞー」(いつもうまいけど)と思えるような、実に気持ちの良い日だった。
 午後3時開始予定。2時半に赤羽氏の自宅まで車で迎えに行き、そのまま幹線道路沿いにある巨大な魚専門店に寄り、目ざとく「中とろぶつ切り ワンパック1,000円」及び「しめさば 600円」などを発見、購入。
 本日の録音スタジオとなる我が家へと向かうのであった。

(つづく)


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