60歳からの古本屋開業 第7章 番外編:note読者500人突破記念インタビュー
登場人物
夏井誠(なつい・まこと) 私。編集者・ライターのおやじ
赤羽修介(あかば・しゅうすけ) 赤羽氏。元出版社勤務のおやじ
赤羽氏はいかにしてこの巨大コンテンツを育て上げたのか
(夏井)今日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。
(赤羽)金曜日はだいたい空いてて暇ですよ。
(夏井)……では早速。えー今回は『Apple書房コンテンツ 読者500人突破記念 赤羽氏はいかにしてこの巨大コンテンツを育て上げたのか』ということでお話をお伺いしたいと思います。それにしても凄いですね、500人。私たちのコンテンツを500人の方に読んでいただいているなんて。そのコツというか、皆さんに読んでいただくのに、どんなご苦労があったのでしょう。
(赤羽)えーと、そうですね。別に苦労はしてないですね。
(夏井)そうですか。ではフォロワー500人という超巨大サイト(笑)になったわけですが、最初に「これは行けるのでは!」と手ごたえを感じたのはどんな瞬間でしたか?
(赤羽)まず私の書いているビートルズコラムで言うと、第1回に「ジョージ・マーティン」のことを書いたわけです。ビートルズが好きな方々に届くことを狙ったわけですが、これがアップしたはいいが、何も起こらない。何の反応もないわけです。そこでいろんな方をフォローして、フォローバックしてもらう(お返しにフォローしてもらう)ようなことをコツコツ始めたわけです。
ビートルズコラム以外にも、いろいろなコンテンツを載せていきましたが、最初は全部合わせても「好き」は8つくらいしかありませんでした。一桁です。それから「色彩マーケティング」の話だとか、コンテンツを少しずつ増やしていくごとに「好き」が少~しずつ増えて。そのあと古本屋創設の話(この連載)、不動産探しのドキュメントを載せたときに一気に数が増え、あれ? もしかして面白がってもらえているんじゃないかと初めて感じました。面白いもの、関心あるものを上げるとちゃんと反応があって、読んでもらえるということを初めて感じることができて、そこでちょっと手ごたえを感じましたね。コメントも入りますからね。これも本当にうれしい。
(夏井)そうそう、コメントうれしいですよね。ところで、やっぱりご苦労なこともあったと思いますが。
(赤羽)そうですねー、まずシンプルに自分で書くのは大変! 編集者として人の文章に赤字を入れるのは得意なんですが、自分の思いや調べたことを文章にすると、思った以上にこだわってしまうし、難しいですね。特に私のコラムはテーマがビートルズです。これがね、調べていくと、みんな言ってることが違うんですよ。
(夏井)やはりビートルズに関しては膨大な話が流れてますよね。だったら、これこそ真実だと、本人、ポールの伝記を読めば真実が分かるかと言えばそうでもない。ポールも昔のことだから結構記憶があいまいになっていたりして(笑)。
(赤羽)そうなんですよ。そこそこ。年齢を経るとポールでさえ自分の過去を美化してしまうというか。
(夏井)この前米国発の記事でポールの発言を読みましたけど、ポールは『ヨーコとは別に仲は悪くなかったし、嫌いになったことなんてないよ』なんて言ってるみたいですし。そうそう『ジョンと喧嘩したことない』とも言ってましたね(笑)。
(赤羽)そもそもポールって、ちょっと嘘つきな部分があるしね(笑)。根がウソつき。ごく自然に罪悪感も何もなくウソをつきますから。たぶんその時は本気でそう思っているのでしょうね。
(夏井)たまにそういう人いますよね。
(赤羽)そうそう、手が付けられない。
(夏井)そういう方は、自分でも本当に本当だと思ってるから、ウソ発見器でもわからない。
(赤羽)ばれないんです。そういう意味でも天才ですから。ポール自身がそうだから世に出ている話の何が本当なのか分からない。ここに私は足を踏み入れてしまってちょっと大変なことになっていますね。このところ、しばらく筆が進んでいません。一生かかるのかも。
note作業の喜び
(夏井)ライフワークになりそうな気配ですね。ところで、この作業の喜びというと、どのような点がありますか?
(赤羽)原稿に手を入れて自分の理想の形に仕上がった時には、この上ない幸せを感じますね。
(夏井)おおおぉ(拍手)、お仕事とも通じるところがありますね。
(赤羽)まあ似てはいるんですが、やはり仕事の場合、どうしても売れ行きを考えてしまいます。こちらは本当に自分の書きたいことを書くだけですから、そのあたりは全然違いますね。売れる、じゃなくて皆さんに喜んでいただくという目的も、同じようで全然違うように思います。
(夏井)印象に残った読者の声はありますか?
(赤羽)基本的にノートにあげている私たちのコンテンツを読んでくれている方々は、ご自身もノートにコンテンツを上げている人たちなんですね。自分たちも書いて、他の人のものも読んでいる。行ってみれば同じ作家仲間なわけです。それも普通の本と大きく違う点かもしれませんね。本の読者のように書く人と読む人が全く別という形ではないんですね。そうなるとコメントも単に読んで「面白かった!」だけじゃなくて「参考になります!」的なものも多くなりますね。
(夏井)プロ、セミプロ同士の評価の場でもあるわけですね。
(赤羽)はい。そういう中にあって、お互いに評価しあい、応援しあうような形も含め、閲覧しあう形を育てていく、と。
(夏井)……。なるほど、その積み重ねが500フォロワーを生んだわけですね。
(赤羽)ですから知識とか経験を共有しあっているという部分もあるので、例えば古本屋の話を載せると「古物商の免許が必要ですよ、それはこういう風にとります」とアドバイスしてくたり。先輩としていろいろ教えてくれたり、ありがたいメッセージもありますね。その意味でツイッターより、もう一歩踏み込んだコメントがいただけるように思います。
(夏井)そういう世界だったんですね。勉強になります。最後に今後の展望についてお伺いしたいのですが。
(赤羽)そうですね、まずは次の1000人というのを目標に頑張っていきたいですね。結局泥臭く地道にやることが大切だと感じています。
(夏井)やはりそういうことなんですね。これ、始めてから半年くらいですよね。
(赤羽)そう、ちょうど半年くらいですね。次の半年で1000人。続けていけばどこかで急上昇する瞬間もあるんじゃないかなと思っています。
(夏井)おおおおぉ。頑張ります。ついていきます。
「おまちどう様でした~、『マグロのコボレ盛り』と『ナポリタン』です」
若くてきれいな女性店員さんが料理を運んでくる。
しばし会話はストップし、その姿に見とれるおじさん二人。
「あ、すみません、ハイボール2つね」
仕事の話が来た。
私たちはこうした小さなイベント的(自分たちで勝手にイベント化しただけですが)なもの、今後のコンテンツについてのことなどを話し合う最高経営者会議という名の飲み会を月に1、2度の頻度で行いながらも、その後も自分の担当するコラムをせっせとノート上に掲載し続けていた。
そんなある日のこと、秋山さんという、私が以前在籍していた会社の先輩で、現在は自分で事務所を開いている人から仕事の件で声がかかった。
古書店開業費用および運転資金を稼ぐため、私たちは来る仕事は拒まない。早速、その先輩の事務所に伺うこととなった。
(つづく)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?