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【短歌七首】ほんとうのわたし

「ほんとうのわたし」なんてねわたしさえ見たこともない、鏡の中にも

流動を感じさせずに黙々と血を運ぶ管、手の甲に透け

いちばんに見つけた秋の訪れは袖丈悩む朝の日と風

新月と恋心はね同じなの見えないけれどちゃんと在るのよ

「ねえ月が綺麗ね……いまのアイラブユーじゃないよ!」と嘘つく十三夜

月明かり浴びて映画のようなになるかも試しにキスしてみなよ

餅をつく兎が杵を振り上げた隙に手を取り逃避行せよ
 



※第三首
三越伊勢丹が開催している「彩り祭 短歌コンテスト」に応募した短歌です。

※第四首~第七首
一年以上前に載せた短歌を少し手直ししました。当時詠んだ歌はリズムがめちゃくちゃで出来が悪かったので……。

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