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詩集#3

50
第三詩集です。
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#詩のようなもの

【詩】休暇届

地球は今日も廻っている 私は今日も生きている 人生とは何だ 人生は旅ではない 人生は海でもな…

【詩】愉快な世界

ここは、とても愉快な世界です 障害を負わされた人のためのグループホームを作ろうとすれば …

【詩】いつか菓子折を

歓喜も開放(解放)も、始まりの中にはない 歓喜も開放(解放)も、終わることの中にしかない …

【詩】その愛は遅すぎる

愛してる、愛してるって言ったって 大切なんだ、大切なんだって言ったって その愛は遅すぎる …

【詩】夕暮れ前

夕暮れ前、近所の保育園から子どもたちの声が聞こえる ふと、それを恐ろしいことのように感じ…

【詩】武器を持つな

持っているものは使いたくなるのが人情だから ナイフを持ち歩いてはいけない 持ち歩いていれば…

【詩】脳内革命

あたし、あいつを殺したわ もちろん、頭の中の話よ あたし、あいつを殺したわ 何度も何度も殺したのよ 髪を鷲づかみにして あいつの頭を壁に叩きつけてやったわ それから、うずくまる横っ腹を蹴り上げてね あいつがあたしを愚弄しては、へらへら笑っていた その記憶がまた脳の片隅から染み出して あたしの脳が汚染されそうになるたび あたし、あいつを殺すの いつか、記憶が完全に書き換えられるといいわね あたしがあいつをぶちのめした記憶に これは全部あたしの頭の中のことだから 誰も知

【詩】光の中へ

目を開けられないほど まばゆい光のほうへ 歩む子らよ 生まれさせられたことは どのみち取り…

【詩】恐れ

母の手に刻まれた皺が恐ろしくて 私はそれを直視できない 母が生きてきた証である皺よ 母が家…

【詩】忘れたとは言わせない

来年の話をすると鬼が笑うと言うが 去年の話をするとポジティブ教の信者たちが眉をひそめるだ…

【詩】一年が終わる日に

一年が終わる日に太陽が爆発すると知っていれば もっと朗らかに、もっと愉快に、もっと陽気に …

【詩】たまたま

たまたま君がいた たまたまわたしがいた 君じゃなくてもよかったし わたしじゃなくてもよかっ…

【詩】フレネミー

あいつは君のフレネミー 薔薇の花束を差し出しても 無数の棘は包み隠したままで あいつは君の…

【詩】本棚を燃やして逝こう

本棚を見ればその人が分かると言うけれど 豪邸でもない、こんな小さな部屋の たかだかこんな程度の本棚に いくら本がぎっしり並んでいたって これでいったい私の何が分かると言うのか あの詩集も あの歌集も あの社会派小説も あのミステリー小説も あの恋愛小説も あの純文学も あの学術書も あのノンフィクションも あの教養書も この本棚にはないのに 子どもの頃の、絶え間ない気掛かりも 愛という錯覚のエネルギーも 適応する必死さも 日々愚弄される悔しさも 長年積み上げてきた憎しみも