【詩】本棚を燃やして逝こう
本棚を見ればその人が分かると言うけれど
豪邸でもない、こんな小さな部屋の
たかだかこんな程度の本棚に
いくら本がぎっしり並んでいたって
これでいったい私の何が分かると言うのか
あの詩集も
あの歌集も
あの社会派小説も
あのミステリー小説も
あの恋愛小説も
あの純文学も
あの学術書も
あのノンフィクションも
あの教養書も
この本棚にはないのに
子どもの頃の、絶え間ない気掛かりも
愛という錯覚のエネルギーも
適応する必死さも
日々愚弄される悔しさも
長年積み上げてきた憎しみも