こんな夜にアナタを想い出したくなかった。

こんな夜に、どんな夜に、いつもと同じバイト終わりの夜に、わたしは突然 あなたを思い出して、たくさん思い出して、一緒にいれた時間はとても短かったし、今はもう会うこともないであろう あなたを思い出して、泣いているんだよ。あなたのために、わたしは泣きたくなかったし、泣いてしまうことを想像すらもしていなかったんだよ。
少し癖がある髪の毛は愛おしかったし、少し低めの声はいつでも落ち着けたし、意外と背が高いところも、本当はできる運動も、皆の前では必死にやろうとしなくて、そういうところにわたしは持っていかれてしまったんだ。きっと。テスト期間、通話しながら一緒に勉強できたことも嬉しかった。
それすら伝えることができなかった。本当は気づいていたんでしょ?
いつからか冷たくなって、電話掛けてもつまらなそうにするから、切るしかなくて。あなたは優しいから自分じゃ切れない、って。それから連絡すらとらなくなった。写真は1枚しかとらせてくれなかった。すごく好きって思った。
それからわたしには彼氏ができた。当時、辛い思いをしたりしていて、それを知っていたのかな。珍しくあなたから連絡がきた。とても嬉しかったけど迷いに迷って無視してしまった。
それから約1年後、また思い出して、連絡してしまった。あなたから、会おうって誘ってくれた。2人で会える空間があったのに、緊張してそれどころじゃなかった。でもわたしは思っていた想像していた、2人の空間ではなかった。そんなの最初からわかっていたことなのに。
知らないうちに彼女ができていた。わたしはいつ、どこで、伝え方を間違えたの?そもそもなにも伝えてないじゃん!罪な男!!

しあわせになってね。 月がきれいにみえた。
そんな夜だ。

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