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海外ドラマ「ハウス・オブ・カード」Season2 アーカートが次に対峙するのは新国王

原題 To Play the King
製作 BBC
製作年 1993
原作 マイケル・ドブズ
キャスト イアン・リチャードソン、マイケル・キッチン、キティ・アルトリッジ、コリン・ジェボンズ他
評価(10段階): ★★★★★★★★★☆

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邦題はハウス・オブ・カードのSeason2となっているが、原題はTo Play the King。
前作で見事首相となったアーカートのその後が描かれる。アーカートが今回対峙することになるのは即位したばかりの国王。国王を演じるのは刑事フォイルのマイケル・キッチン。

(以下ネタバレ含む)

新しく即位した国王は理想を強く持っている。
アーカートが賢い人(”wise man”)として名を残したいというのに対して国王は良い人(“good man”)として人々の記憶に残ることを望むという。

The King: You are a clever man, Mr. Urquhart.
Francis Urquhart: You are too kind, Sir. I'd rather be remembered as a wise man than a clever one. But I think that sound man is the highest praise I can expect.
The King: I'd want to be remembered as a good man.

ちなみに、cleverとwiseは共に「賢い」と訳されるが、 cleverは頭の回転が早い、場合によってはずる賢いというような”賢さ”。対するwiseは思慮深い、分別のあるといった”賢さ”。
頭が良いはsmartや知的なという意味でintelligentもある。

環境問題や貧困に心を痛める国王は、一向にそれらに対処する気のないアーカートと対立する。
政治には介入しないと分かっていながらも、世論の支持や側近でマイノリティ問題に強い関心を持つクロエに次第に影響を受け、それまでよりも大胆な行動をとるようになっていく。
そして結局、政府に楯突いた行動が自分の首をしめることになる。
アーカートのセリフ。

If he thinks that being King allows him to say what he likes, he is a bloody fool.

アーカートは決して君主制の崩壊を狙っているわけではない。
政府の(自分の)いうことを聞く国王が欲しいだけだ。

フィクションとはいえ、こういう筋書きを考えておくのは大切だと思う。
イギリスに限らず王室のメンバーが、この先も今のような役割でいつづけることは可能なのか。普通の人々のように意見を言うことが出来ない、果たしてそれが良いのか。
今はそれで良いと考える人が多数かもしれない。でも、人権に対する考えかたも目まぐるしく変わっていく時代にあって、この先はどうなるかわからない。
世論も変わり、意見を言う王室のメンバーが出てくるかもしれない。

ドラマにおいて、次第に国民の支持を集める国王に対し、アーカートがテレビのインタビューで主張したのが徴兵制。突拍子もないようにみえるが、目標も何もなくぶらぶらしている若者を鍛え直すのだというその意見は一定の支持を集めるには十分説得力のあるものだ。

テープに残っていたSeason1のラストシーンでのマティとの最期のやりとり。
オニールに対して行ったことには罪悪感を持っている様子はないが、マティのことは思い出さずにいられない様子。
だからこそ、前のように冷徹になりきれない。30年も忠実に仕えてきたスタンパーがそのテープを警察に持ち込もうとした行動について、自分の態度が悪かったのだという。秘密を知ってしまったサラへの対処に躊躇する。
そんな中で一番おそろしいのは妻のエリザベスだと思う。首相の座について刺激がなく退屈している夫にサラを紹介し、秘密を知ったと分かったら始末しなければならないと迫る。
エリザベスに後押しされ、IRAの仕業に見せかけて2人を始末することに成功。

秘密を闇に葬り、国王の退位まで漕ぎ着けたアーカートに敵なしか。

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