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海外ドラマ「サマー・オブ・ロケット スパイにさせられた男」冷戦下イギリスのスパイドラマ

原題 Summer of Rockets
製作 BBC
製作年 2019
キャスト トビー・スティーブンス、キーリー・ホーズ、ティモシー・スポール他
監督/演出 スティーブン・ポリアコフ
評価(10段階): ★★★★★★★☆☆☆

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あらすじ
舞台は冷戦下のイギリス。補聴器の会社を営むサミュエルは下院議員ショーとその妻キャサリンと知り合う。しかしMI5から彼らの監視を以来され、次第にスパイ活動に巻き込まれてゆく。

50分×6回。

スパイものだが暗すぎることなく、イギリスの綺麗な景色も楽しめて良かった。冷戦下で核の危機に怯える時代の恐怖のなかで少しずつ変わっていくその芽生えと古き良き大英帝国への懐古が様々な人物を通して上手く描かれていた。

本作の脚本家、スティーブン・ポリアコフ(Stephen Poliakoff)は2006年には英国の傑出したドラマ作家(pre-eminent TV dramatist)と評された人物。本作のレビューを見てみると、ポリアコフ脚本とあって期待をしていた人には低評価のようだ。

不必要に思えるシーンが多いのも確か。
例えばハンナがマナー教室の講師のニコラスと一緒に核攻撃にあった場合の訓練に参加するエピソード。あれはなんだったのだろう。ハンナのパーティーのシーンはなくても良かった気もするが、当時はこんなふうだったのかと知れた点ではよかった。ケーキのパーティは衝撃だった。
また、アントニーがもっと物語の核になるのかと思いきやそうでもなかったのもちょっと不満が残る。友人のポールの存在もなんだか中途半端。描いた絵の意味やベジタリアンの謎も残る。キャサリンが言うようにこれから徐々に家族が分かっていくことなのかもしれない。

5回の終わりで物語が大きく動いて、最後の1回が駆け足気味だったのも残念。もう少しウォリントン卿たちの背景が知りたかった。ちなみにアーサー・ウォリントン卿、どこかで見た顔だと思ったらハリー・ポッターのピーター・ペティグリューだった。

物語が楽しめたのは、サミュエルとその子供たちが魅力的だったからだろうと思う。
主人公サミュエルがロシア出身でイギリス人たろうとし、子供たちにもそうあって欲しいと願う。そんな中で知り合った古き良きイギリスを代表するようなショー夫妻への憧れと尊敬。それ故の葛藤。聡明なサーシャとハンナという2人の子供たち。
結末に不満を抱く人も多いだろうが、ハッピーエンドのような形でよかった。それに個人的には最後にニコラスが活躍してくれてよかった。

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