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現在流行しているデルタ株の正体

現在、4度目の緊急事態宣言が東京都に発令され、8月2日からは神奈川・千葉・埼玉・大阪も宣言の対象地域となり、8月31日まで延長された。しかし、渋谷や原宿、吉祥寺など都市部では毎日のように人が溢れており、昨年のような徹底した「ステイホーム」は見受けられない。今回は、ただ単に、「外出するな」と言うわけではない。私たちがしっかりと現状の事実を把握し、考察をした上で、できる対策は全て行っていくことの大切さを共有する。その上で、現在感染拡大の主流となっている「デルタ変異株(インド由来の変異株)」について、症状や感染力、重症化率、ワクチンの効果などの側面から伝えていきたいと思う。

・そもそも「デルタ株」とは・・・
「デルタ」というのは、WHO(世界保健機関)が「感染症やウイルスの名称に地域や人の名前などをつけることは差別や偏見を生む可能性があるとして禁止している」という規定のもと、5月31日に変異ウイルスの名称に国名などを使用することを避け、ギリシャ文字で表記することとしたことからきた呼び方である。

アルファ株・・・イギリス由来の変異ウイルス
ベータ株・・・南アフリカ由来の変異ウイルス
ガンマ株・・・ブラジル由来の変異ウイルス
デルタ株・・・インド由来の変異ウイルス

今回は、この4つ目の「デルタ株」について取り扱う。

・「デルタ株」の感染力(一人が何人に感染させるか)
厚生労働省の試算では、国内でのデルタ株の感染力は、従来の非変異株と比べて、約1.95倍にのぼるとのことだ。米CDCの分析では、デルタ株の場合、1人から8〜9人に感染させる可能性が高い。私たちが日常、感染者数を見ていても、ここ最近は一桁増えた印象であることから、これまでアジア人は欧米に比べてかかりにくく、「ファクターX」が存在すると言われてきたが、今では欧米とアジアはデルタ株の影響で差がなくなりつつある。

・この感染力を防ぐ感染対策とは・・・
基本的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、飛沫による感染が大半を占め、接触感染は米CDCの調査で、飛沫感染の1/10000ということが言われています。私たちは、飛沫による感染と空気感染を防ぐことを徹底し、アルコール消毒も適宜実施することが重要です。デルタ株を防ぐ対策は以下の通りです。

・不織布マスクをピッタリ着用
・飲食時、1人での散歩、十分な距離が保てている場合を除き、常時マスク着用
・人と話すときは2メートル程度離れる
・十分に距離が保てていない、換気が徹底されていないなど感染対策を十分に講じていない店への来店を自粛する。
・1人や家族及び親戚での食事以外では、基本的にマスク飲食をする。
・飲食前や接触の多い機会の前に、アルコール手指消毒を行うこと。
・飲食や接触機会の多い場所は、適宜アルコール消毒を行うこと。
・2人で食事する際は、4人テーブルで斜めに座ること。また飲食店は4人テーブルで斜めに座ることを円滑に行えるように整備すること。
・会議やメールの確認などの事務作業は原則として在宅勤務とし、どうしても対面での業務を行わなければいけない場合は、感染対策を徹底して対面で実施すること。

・「デルタ株」と「従来株(変異前)」の違いとは?
ー症状について
「従来株」の場合・・・
発症率が高い症状:発熱・咳・倦怠感
たまに見られる症状:頭痛・のどの痛み・下痢・筋肉痛・味覚障害・嗅覚障害・皮膚の発疹
重症化した場合:呼吸困難・胸の痛みや圧迫感・言語障害・運動機能の消失

「デルタ株」の場合・・・
発症率が高い症状:頭痛・のどの痛み・鼻水
たまに見られる症状:発熱・下痢・筋肉痛
稀に見られる症状:味覚障害・嗅覚障害
※重症化した場合は「従来株」と同様。

「デルタ株」は、「従来株」と比べて、新型コロナウイルスの特徴的な症状であった、味覚や嗅覚の障害が起こりづらくなっている。その一方で、頭痛やのどの痛み、鼻水など、従来の風邪のような症状が強まり、それが少し長く続くことが多いということだ。軽症患者がほとんどだが、従来の風邪よりは辛いことから、感染しないように予防を徹底することが重要だ。

デルタ株の潜伏期間はまだ明らかになっていないが、従来株の潜伏期間について改めて示しておく。国立感染症研究所が福岡市で2020年2月19日~11月15日まで3192名に行った調査では、「従来株(ここでは、2020年2月19日から2020年11月15日までに変異した株含む)」の潜伏期間の平均は、4.82日であったとのことである。そして発症から5~7日程度が一番ウイルス量が多い時期であることから、約10日間は仕事や学校を休んだ方がよさそうだ。現在、政府は原則14日間の待機としているが、重症化などの兆候がない場合などは、10日間の待機で十分である可能性がある。

・「デルタ株」の拡大防止に効果的な対策とは・・・
1,不織布マスクを原則常時、ピタッと着用することを徹底する。
2,中等症及び重症患者を優先的に入院させ、無症状・軽症患者はホテル及び自宅療養を原則とする。中等症患者や軽症患者をホテルで治療できるよう、緊急時医療対応ホテルの認定制度を設け、認定ホテルに治療薬や治療法、医師、看護師を配備できるようにする。
3,全国民の6割に2回のワクチン接種を行い、8割〜9割が早いうちに2回の接種を済ませることを目指していく。
4,カフェや劇場、飲食店では、人数制限を実施し、一度に入店する人数を半数以下に抑えること。
5,飲食店では、4人テーブルの場合は斜めに座れるよう整備し、カウンターなどの間隔確保を徹底する。
6,オフィスでの座席間隔の確保、発熱症状等がある人へのPCR検査及び抗原検査受診の勧奨を行うこと。会議や事務作業は原則在宅勤務とすること。
7,都道府県間の移動を極力控え、移動する場合は従来の半分以下の人数に抑えること。

酒類の提供停止や時短要請が実効性の高い対策かどうかについては、検証を行わなければならず、私は個人的に、もっと実効性が高く負担の少ない対策があるのではないかと思い、上記の対策を提案した。政府も地方自治体も、科学的な実効性の高い対策を持続的に実行していくことを試みてほしい。今回は、人類史上、あまり経験したことがないパンデミックであり、対応に苦慮したことは受け入れる。この経験を、近い将来必ずやってくる新たなパンデミックに向けて活かしてほしい。

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