クラウドファンディングやってまして、そのきっかけの話。
Written by 山下裕矢
今月21日から、サンドイッチパーラーでクラウドファンディングをやっている。
https://camp-fire.jp/projects/view/180689
目的は、9月から始める予定の新作アルバムの制作費をまかなうため。
しかしきっかけはちょっと違うところにあって、8月に訪れるキューバのことを調べるにつれ、面白そうなことがいっぱい見つかったことから、ちょっとやってみようか?という流れになった。
そもそもふたりとも、自分たちの作品を作るにあたってお金を先にいただくことに、ちょっと抵抗があった。ライブなどで新曲を披露して、動画などもアップして、そして出来たもの(パッケージなど)をお見せして、買っていただいたらお金が入る。というのがあたりまえで、どんな曲が入るのか、どんなジャケットなのかも分からないのに先にお金をいただくのは気が進まないよね、ということで意見が一致していた。もちろん先にいただけたらありがたいことは間違いないけれど、という部分も含めて。
だからなるだけお金を掛けずに、ということで、今まで出した2枚については、家で録音してCD-Rに焼いたり、デザインしたり、パッケージの仕上げまで、自分たちだけでやっていた。今の形で活動を始める前にはちゃんとスタジオでレコーディングしてもらったこともあったけれど、この2枚もまぁそれなりの仕上がりで、でも手作り感があって、それはそれでいいんじゃないか?と思っているし、実際周りの反応も悪くない。(と自分たちが思っているだけで、思ったことをわざわざ伝えてくれてないだけかもしれないが。)
そんな僕たちがクラウドファンディングで制作費を募ろうと思ったきっかけは、キューバの郵便事情にある。
キューバでは楽器を手に入れるという目的があるので、出発時の荷物を減らして身軽なバックパッカーで行こうと考えていて、もしお土産などが増えてしまったら現地から送ってしまえばいい、と運賃の相場などを調べてみた。すると驚いたことに約1kgの荷物を送って400円くらいとか、日本でいう120サイズくらいの段ボールを送って800円くらいで、2週間から遅くても1か月で届いた、という人のブログをいくつか発見したのだが、同時に手紙を送った場合の金額や到着時期も書かれていて、もっと驚いた。
切手代は約90円、届くのは1・2か月後から、下手をすると半年。だそうだ。
クラウドファンディングのリターンの定番と言えば、「お礼状」がメールであったり、直筆の手紙で支援者ひとりひとりに届くというもの。通常、募集締め切り直後とか、リターン品とセットで届くものだが、それをキューバから送ってみたら面白いんじゃない??と思いついてしまった。
切手代が安いからではない。届くまでの時間が楽しそう!というのが最大の理由である。8月下旬にキューバで投函するので、早めに着いた場合は9月下旬から10月に届く。CDが完成してリターン品として送るのが10月の予定なので、それよりちょっと早いか同時期ということとなる。
が、もしも遅れた場合、年賀状や寒中見舞いに紛れ込んだりする可能性もなくはない。
「まるで絵はがきのような美しい景色」と形容されるキューバで、いかにもキューバっぽい絵はがきを見つけて使う。宛名とメッセージはもちろんすべて自分たちで手書きして、キューバで投函する。そして、いつ届くのかは全くわからない。
こんなことに大いなるロマンを感じてしまい、その他のリターン品についても、小物楽器や大好きなキューバシャツなど、もともと自分たち用に手に入れたいと思っているものをお裾分けするような形で設定している。
以前から、音楽系のクラウドファンディングによくあるリストバンド、Tシャツ、スポーツタオルなどのオリジナルグッズや、ライブの楽屋にご招待、CDのブックレットにお名前を記載します、みたいなリターンは何かちょっと違うな…、と思っていて、プロジェクトを申請したときに運営サイドから「みなさんよくそういったリターンを設定されてますし、その方が達成率もあがりますよ」的なアドバイスのメールがきていたが、お構いなしに自分たちの面白いと思うことしか入れないことにした。
公開から1週間。そんな風変わりな条件にもかかわらず、ありがたいことに目標達成率50%となって、すでに売り切れたコースもあったので、新たなコースを追加した。残りあと2週間、目標額に達さなくても集まった金額は手に入れられるが、このプロジェクトを一緒に面白がってくれる人がどれだけ集まるか、わくわくしている。
https://camp-fire.jp/projects/view/180689
ただし、「いつ届くのか分からない」という、お礼状としての機能がほとんど破綻したものを基本としているので、その他のリターン品については、確実に持ち帰ってお届けできるよう、バックパッカー+お土産用スーツケースひとつ、という形で自分の手で運ぶことになりそうだ。
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