笑い中戸
笑い上戸でよかったな、と思う。正確に言うと、けらけら笑うほどでもないけれど、無意識に口元へ笑みをたたえる程度には朗らかになれる。
おまけに下戸の血が混ざっているから、缶ビールひと缶で事足りる。
"笑い中戸"といったところか。
どうしても煩悩から自力で逃れられないときには、家事が捗って本当に助かる。
若い頃には「酔っ払う」という感覚を味わってみたかったし、尿へ金と記憶を溶かしては排泄する人々がくだらなくて羨ましくてたまらなかった。
吐き出してしまうのだ。酔っ払う前に。アルコール依存になる余地もない。
真面目な心身にうんざりして、数年間煙草を呑んでいた時期があったがこれも駄目。
賭けも駄目、恋も駄目。私を慰めてくれる、たまのビールひと缶。
許してくれますよね。神様も私も。
生きる糧