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【ビットコイン】『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』【追加記事】

本書は同じジェイラボに所属ゆーろっぷさんに紹介して頂いた本です。ゆーろっぷさんの記事は下に張っておきます。普段触れない分野の本を紹介して頂き感謝致します。


【読書】野口悠紀雄『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』【基礎教養部】|ゆーろっぷ (note.com)

チームであるイスツクエさんも同じ著書で記事を書いていますので読んでみて下さい。


1.デジタル通貨/ブロックチェーン

・ ビットコインの理念
ビットコインの基本理念とは、「プライバシーが保護された分散型の通貨」である。
そう言われても、容易には理解できない。特に、その主要技術であるブロックチェーンなんかは十分なITやコードの知識がないとフワフワしたイメージになるしその「理念」も普段の生活では理解しにくい。
そもそも通貨とは価値交換媒体であり、それは永らく現物の貨幣として存在した。古くは貝などがそうであったし、今は紙ペラと硬貨になっている。1万円札をいくら眺めてもそれがどのような取引に使われてきたか分からないが、現代ではその運用・取引を銀行などの第三者が介入しており、各個人の取引は筒抜けである。クレジットカードの利用明細が明らかにされたらその人の生活の大半を理解できる。誰だって嫌だろう。

そして「私達は便利さを享受した一方で、そのようなプライバシーの犠牲を払っている」

これが本書著者による、ビットコイン開発者陣の問題意識であった。


・ 結果
だが、結果として、それは「安全で偽造不可能で利用者のプライバシーを犠牲にしないマネー」にならなかった。
第三者で管理させないということは自分で管理することを意味するが、早い話、それはほとんどの人にとってハードルが高かった。冒頭でも述べた通り、大抵の人間に基礎的でもIT技術などに関する知識はなかったのだ。
だが、それは未来に向かった面白いアイデアであることは確かだと感じた。その希望は、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)に移ったわけだが、正直これがどうなるかは見守りながら考えたい。


・ 雑多な所感
デジタル通貨について考えるには、そもそも「お金(貨幣)」とは何かについて考えなくてはならない。本書を通じてその意識はよりはっきりした。
教科書的な説明によれば、貨幣とは商品の取引を円滑にする媒介物である。更にそこに価値尺度、価値貯蔵手段といった機能が付随する。(正直、よく分からないが。)
デジタル通貨について書く本であるなら、大枠である「通貨」についても何かしらコメントが欲しかった。


2.中国の野望

先に述べたCBDCのフロントラインを進むのが実は中国である。これは前々から言われていたことではあるが、詳細に書き出されるとその熱意というか強かさに驚かされた。一党独裁だと「国家の本気」をまじまじと見せつけられているようで恐ろしさすら感じる。
ただし、実証実験では人々は全く有難がってないとの報道もあるらしい。スマホでの決済は既にアリペイやウィーチャットで既に可能で、それに取って代わるほどデジタル人民元に大きな利便性はないからだ。それはそうだ。
中国政府の目的は、国民の利便性向上ではなく、データの管理・人民元の国際的地位向上が主なものだが、両者がどうかみ合っていくかは個人的に非常に興味がある。


3 所感

連載を再編集したものだから寄せ集め感は拭えない。著者の理解や知識ならもっと面白く書けただろうというのが本音である。
ここからは本書そのものではなく、専門分野に関する一般書向けに関する愚痴に広がるのだが、(「専門性と一般読者の理解」という矛盾するものを扱う難しさは分かる。)日本のものはどれも面白みにかける。自分が専門的な知見を得ることによって歩み寄ればいいのだが、海外の専門分野に関する一般書は面白いことが多い。(和訳されて日本に来るんだから面白いのは当然で、割合としては一緒説はある。)
「面白さ」にふると、正確性にかける部分も増えるのかもしれないが、日本の物書きももうちょっと参考にして欲しい。反感買いそうな締めでごめんなさい。

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