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宵の空、星々の輝き

春の足音が近付き、日ごとに太陽の沈む時刻が遅くなってきました。

建物や山などの景色に隠れながら、太陽がゆっくりと姿を消します。
西の空は燃えるような茜色に染まり、それからだんだんと落ち着いて、じんわりと白っぽい色に。
東の空は一足はやく暗さを増して、夜を連れてきます。
白っぽさが残る西の空に藍色の夜が混じり合うと、青みがかった儚い色に。

夕方と夜の狭間、薄暮はくぼの時間です。

そのころ、一番星が輝きはじめます。
今の時期は、強い明るさを放つ「金星」が目を引くはずです。

金星は「宵の明星みょうじょう」とも呼ばれ、その明るさから一番星になることが多い星です。

地球よりも内側を回る惑星、内惑星ないわくせいである金星は、地球から見るといつも太陽の近くに見えます。
太陽に近付きすぎてしまうと、太陽の明るさに紛れて見づらくなってしまいますが、距離があるときには、日の入り後や日の出前の空に、見つけやすい明るさで輝いています。

金星の明るさの秘密は、金星の表面をおおっている硫酸でできた厚い雲が、太陽の光をよく反射するからだそうです。
反射した光が、地球からはきらきらと眩しく輝いているように見えているんです。


金星の近くには、明るい木星の姿も。

夏から秋にかけて一番の明るさを誇っていた木星は、徐々に太陽との距離が近くなり、今は西の空へと移動しました。

先日は木星と金星、そして細い三日月が宵の空に揃い、私たちの目を楽しませてくれました。ご覧になった方もいるでしょうか?

木星は太陽系の中で最大の星。大きさは地球の約11倍もあるそうです。
そんなに大きな星が、地球から小さな点に見えるということは、それだけ地球と木星の距離が離れているということ。
太陽も、実際は地球の100倍以上の大きさですが、地球からは10円玉くらいの大きさにしか見えません。
(※「10円玉」と書きましたが、夕日が大きく見えるのは実は目の錯覚で、地球から見た太陽は腕を伸ばして5円玉を持った時の、“5円玉の穴の大きさ”と、ほぼ同じだそうです。)

それだけ遠く離れた距離からの光が、私たちの目に届いているのだと思うと、何だか不思議な気分になります。

数年前に東京のプラネタリウムで、木星に焦点を当てた番組を見たことがあります。
木星はその大きさから、宇宙に漂う数多くの細かい天体が木星にぶつかってくるそうです。
もし木星がいなかったら、それらは地球にまで届いていたかもしれません。
木星から比べればほんの小さな天体でも、私たちの地球と比べたらはるかに大きな天体です。
それらが地球にぶつかっていたら......。

つまり、木星は私たち地球を守ってくれているそうです。

番組ではテーマ曲として平原綾香さんの『Jupiter』を使用しており、力強い歌声とともに壮大な宇宙、木星へと想いを馳せることができました。とても感動したのを覚えています。


金星も木星も、その力強い明るさが見上げる私の心にも灯り、元気をもらいます。

そして全天一明るい恒星こうせいであるシリウスも、暗くなり始めた南東の空に輝き、今の時期は宵の空で、3つの明るい星々を楽しむことができます。

太陽の光で輝く惑星、自らの光で輝く恒星こうせい

皆それぞれに、自分が一番美しく輝ける方法を選べばいい。

そうして、その光が遠く離れた誰かに届くこともあるかもしれない。


星から学ぶことは多く、尽きることがありません。

宵の空で輝く金星と木星、そして冬の星シリウスを、皆さんもぜひ見上げてみてください。


2023.02.27 朝
2023.02.27 夜追記

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