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ムーティのスピーチに思う

"Neujahrskonzert 2021

新年の恒例行事といえば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサート。毎年楽しみにしている。

ウィーン楽友協会の大ホールの素敵なシャンデリアや心づくしのフラワーアレンジメントがシュトラウスファミリーのワルツやポルカ、行進曲中心の選曲を華やかに盛り上げる。

今年(2021年)は、オーストリア政府による予防措置により、史上初無観客での開催となった。

コンダクターは3年ぶりのマエストロ ムーティ。彼の出身地「イタリア」が演目のキーワードだった。

ムーティのスピーチ

世界中の知事、大統領、首相のみなさんに
私からお願いしたいことがあります。
将来社会をよくするためには、音楽という文化
が欠かすことができない要素であるという点を
どうかお考え下さい。
この思いを込めて「美しく青きドナウ」を演奏
いたします。この美しい曲の音の波の中に、
喜びと悲しみが、生と死がいっぱいに詰まって
いることをお聴きください。(一部抜粋)

ムーティのスピーチをしみじみと聞いた。
たどたどしい英語でのスピーチ。ドイツ語で〝ihnen“そして団員が〝prosit Neujahr“と言った後イタリア語で “grazie“(ありがとう)と加えたのが印象的だった。

イタリア語は、音楽用語でいっぱいだ。

ピアノといえば、楽器のピアノだが、
強弱記号のP(弱く)でもある。

イタリア語の日常会話では、「お静かに」という時〝piano, piano“ と言う。

よく聞こえない時は、〝ripeta.“と言われる。
ripetere(くり返す)のニ人称だ。
勿論、反復記号リピート(くり返す)
と同じ意味である。

発想記号のcomodo(気楽に)

音楽の上では、「自由なテンポで演奏して」という意味合いだが、 
イタリア語では
(安楽な・心地よい・余裕がある・くつろいだ)という意味で使われ、

お招きを受けた人が〝comodo“と言えば、
「快適だ」とご満足頂いていることになる。

♪〜♬〜♪〜♩

ドナウ川について

ドナウ川は、ヨーロッパで二番目に長い河、
ドナウ川が西から東へと流れる間に、ドイツ、
オーストリア、スロバキア、ハンガリー、
クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、
モルドバ、ウクライナの10カ国などを通り、
ヨーロッパのライフラインとして、多種多様の人々・宗教・文化を調和のとれた形で結合して
います。多様性に富み、ある時はのどかな、
ある時は神秘的な表情を見せる岸辺の風景は、
神話と伝説に彩られています。
「Austria info」より

世界中探しても、こんなに沢山の国家を跨る国際河川はドナウ川をおいて他にない。

また、ドナウ川をテーマにした数多くの音楽が生まれている。

ほとんどが、シュトラウス家によるものだが、
シューベルト、ヤナーチェク、ジークフリートなどによる作品もある。

音楽による芸術の絆。

世界中が、イタリア語でいうところの“comodo“になるのはいつのことだろうか? 

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