メイクできないのにコスプレデビューした話

はじめに

私は義務教育を受けている間、模範的な生徒であるほどクソ真面目だった。そのせいで成人式の後の集まりで、中3の担任だった教師に顔すら覚えられていないという結果になるのですが。(問題児ほど可愛がられるって真理ですよね。)なので高校に上がってももちろんメイクなんて全くしたことがなかったです。そんな私がタイトルの通りコスプレデビューしちゃった時のことを綴ってみようと思います。

コスプレに興味を持ったきっかけ

元々オタク気質なところがあって、好きな漫画を集めたりアニメを一気観したりということはやっていました。(この程度でオタクって言うなと思う方はすみません。)大学の時にとあるスポーツ漫画(アニメ)にハマってそのスポーツを自分もやってみようかなと思ってバイト代を貯め、友達に言われるがまま一緒にそのスポーツを楽しむということをやっていました。その友達から、「コスプレやってるんだよね〜」という話を聞いて、すごいな〜、コスプレなんてネットの世界の話だけだと思ってた、なんて考えていました。
所属していた学科の雰囲気もあってか、オタク活動に勤しむ人も多く、友人は結構オープンにコスプレ活動について話しており、話を聞いてみると学内には友人以外にも割とコスプレをやっている人がいることがわかりました。この辺で、「コスプレってそんな特殊な趣味じゃないんだ〜、ちょっと気になる」くらいの意識の変化があったように思います。
思えば幼稚園の頃、おジャ魔女どれみの変身セットを買ってもらって、人前ではあまり着なかったけれど、アニメのキャラクターが着ている派手なコスチュームを自分が着るのは、なんだか特別な感情が湧き上がってきて、嬉しかったことを思い出します。同年代の子がシンデレラのドレスのコスチュームを持っていて、着ているところを見せてもらった時には羨ましいなぁと思うこともありました。

初めてのコスプレ計画

友人のコスプレ活動の話は聞いていて楽しそうだな、と思う一方、昔から脚が太かったことがコンプレックスだったこともあり、コスプレデビューすることもなく1年くらい過ぎました。私は割と勧められると漫画やアニメでもなんでも一話だけでも観てみるところがあったので、スポーツ漫画に感化された友人が「一緒にスポーツやろうよ〜」と言ってきた時も「わかった〜お金貯める〜」と言って本当にやりました。クトゥルフというTRPGもやってみたいな〜と言っていたら「今度ネットの友達誘うから一緒にやろうよ」と友人に言われて初対面の人を含んで一緒に遊んだり。きっかけさえ貰えればなんでもやる、そういうポテンシャルがあったのです。コスプレと言えば名古屋で夏と秋に大きなコスイベがあり、イベント当日は初心者からヘビーなコスプレイヤーまでごった煮状態で参加するカオスな場所になるのでした。そういう事情もあって、「ハードル低いし気になるならやってみようよ〜」という感じで件の友人から誘われて例に漏れず「やってみようかな〜」ということでコスプレデビューすることになりました。

コスプレの準備

服飾系の学校に通っているわけでもなく、初めてのコスプレということで、いわゆる自作レイヤーさんというものはめちゃめちゃなハードルの高さにあるため、既製品を買って参加しようということになりました。
初めから1人で好きなものをやるのはかなりハードルが高いので、友人から「併せ」にしよっか、という提案を受けてどのコスプレにするかを決めました。(「併せ」というのは、ざっくり言うと同じジャンルの関連のあるキャラクター同士でコスプレをすることを言います。「鬼滅併せ」なら炭治郎と禰󠄀豆子をやるとか)
既製品で衣装が販売しているもので「併せ」となると、結構絞られるので、某有名ゲームシリーズの女の子のキャラでやる事にしました。
コスプレ衣装の既製品購入はネットで買うのが主流ですが、スマホゲームのガチャくらいの排出率でしか、まともな衣装が購入できないので、かなり大手のジャンルじゃないと、その中でもまともな衣装が手に入る確率が滅茶苦茶下がります。同じ写真で掲載してるのに値段が違うなと思ったら安い方は勝手に写真を使ってるだけで実際は写真とは程遠いゴミ…ものが届くなんていうのはザラにあります。
そう言う事情を教えてもらった上で、慎重に選んで衣装を買いました。
私が買った衣装にはスチームパンク的なゴーグルが付いてくるはずなんですが、水泳用のゴーグルみたいなのが入ってました。ゴミ…。
まぁ初めてのコスプレですし、サングラスなんて絶対自作できないのが分かっていたのでそこは我慢して首からぶら下げる事にしました。
また、もともと視力がめちゃくちゃよかったこともあって、カラコンを入れると言う事に抵抗がありました。
コスプレやるなら絶対カラコンしなきゃダメとは思いませんが、コスイベでカラコンしてない人は、高確率で全く知らない人から嫌なことを言われることがあるので、それは心づもりとして持っておいた方が良いと思います。実際に私は知らない人からコスイベの着替え室で「カラコンなしとか無いわ〜」と5メートルくらい離れた位置で着替えている知らない人に言われたことがあります。でも大体そう言う嫌なことを言ってくる人は自分の見た目にコンプレックスあるんだろうな…みたいな人なのであんまり気にしないで楽しんでくださいね。というこれからやりたいと思ってる人への一応のフォローです。
コスプレデビューの準備に話を戻します。一応ワンデーのカラコンを買って試してみたんですが、全然入らなくて目も痛くなってくるし、目が傷付いたら怖いのでメイクで誤魔化そう!と思い至りました。
ここでタイトルに戻ると、大学入学してから簡単なメイクは確かにしていましたが、詐欺メイク!みたいなのは全くやったことがなくて、つけまつげとかどうしたらええんや…状態でした。コスプレイヤーの友人曰く、「写真撮ると思ったより薄化粧で素顔に映るから、めっっっちゃ濃!!!!!!!!!!てくらい盛ったほうがいい」ということだったので、盛り方を色々と検索するなどしました。女装レイヤーさんより男装レイヤーさんの方が劇的ビフォーアフターなメイク比較写真をアップしてたりするように思ったので、「男装 コスプレ メイク」でひたすら検索していました。
実際に自分の顔にメイクをしてみると、参考にしている動画や写真の通りにはいかないのです。顔のパーツの特徴がみんな違うので当然のことです。
メイクって難しい…!!!
ここで気づきました。
普段のメイクは眉毛を適当に描いてアイシャドウを適当に塗ってリップを塗って終わり。
そんな状態でコスプレメイクなんて難しくて当然でした。なので、先にコスプレを始めていた友人にあれこれ質問をしました。
影になる部分を濃いめのシャドウを入れたら彫りが深くなるよ、とか、瞼と目の下あたりのところに広く若干暗めのアイシャドウを入れて、目を大きく見せるためにラインは数ミリ幅広く入れたらいいよ、とか、写真に添削を入れたりして教えてもらいました。神か…。
教えてもらっても実際にメイクするのは自分なので、すぐには上達せず、しかもウィッグも作らなくてはならないことで結構焦っていました。
とにかく休みの日は何度も何度もメイクの練習をして、ウィッグも地毛がはみ出ないように工夫して結んだりと当日まで1ヶ月くらいはそのことばっかり考えてました。

コスイベ当日

初めてのコスイベということで、うわあ、私本当にコスプレするんだ…!と思いました。
旅行に行くわけでもないのにキャリーバッグを持って、帽子を目深に被って友達との待ち合わせ場所へ向かいました。
そこから予約してあった着替え室の会場へ向かいつつ、友達の体調を気にするなどしていました。
併せと言っていたのですが、少し前に自作が間に合わなさそうということで、友達は別のジャンルのコスプレをやることになっていました。そのコスプレの衣装は既に持っていたそうなのですが、自作レイヤーだったためクオリティに満足がいっていなかったようで、前日…否、当日の朝まで作り直していました。朝方のツイートは「まだ布」
よく見るやつだ…!!!!!と少し感動しました。
結局スカートのホック部分?が間に合わなかったらしく、「安ピン(安全ピン)で行くわ」とのことでした。
着替え室の受付を済ませ、着替えも終わって友人のセッティングが終わるのを隣で待っていると、「これ使っていいよ」と、クラランスのフィックスメイクアップを貸してくれました。化粧持ちをアップしてくれるミストの中でもミストがめちゃくちゃ細かくていい匂いがする魔法のグッズです。神…。友達はとにかく優しかったです。ただ、そういうことをやりながらワクワクソワソワしている時に、「カラコン無しとか絶対無理だわ〜」「着ただけはコスプレって言わない」というような心無い言葉が聞こえてきました。少し悲しい気持ちになりました。でも、友達は「気にしなくていいよ。今日楽しくてクオリティ上げたいなって思ったらその時またカラコンチャレンジすればいいし。病気とかでつけれん人とか居るし。」と言ってくれました。マジ神…。
そんなこんなで着替え室を出て、遂にイベント会場へ!
街には既にポツポツとコスプレした人が歩いており、うわぁ、本当にコスイベ会場に向かってるんだぁ…とひとごとのように考えていました。1番人が集まる所に到着すると、それはもう本当に所狭しとコスプレイヤーにカメラマンに、それらを見に来た一般人にと大変な熱気でした。
圧倒されていると、友達に親しげに話しかける人がちらほらといることに気づきます。
コスプレ界隈は、長く続けるとどうやら知り合いが増えるようでした。すごい…。
たくさんの人の中で友達と写真を撮りあったり、ツーショットを撮ったりしていると、カメラを持った人達に撮影してもいいですか、と少しずつ声をかけられるようになり、名刺を渡す文化があることも初めて知りました。(イベント終了後の帰宅時には、可愛い名刺をたくさんもらって嬉しかったので見返しながらホクホクしました。)
初めてコスプレするので名刺はないんですけど、と伝えると、どうやら名刺を渡すのには後日レタッチした写真を送ってくれる時の連絡先を載せるというかなり実用的な意味で渡しているようでした。この日写真を撮ってくださった方たちには全員に名刺がない理由をお伝えし、Twitterアカウントをその場で交換して後日DMで写真をもらうことになりました。(ギガファイルの存在もここで知る)
途中友達の知り合いでかなりクオリティの高い自作レイヤーの方とお話しする機会もあって、「可愛らしい〇〇(コスプレしてたキャラ名)ね」と言われてすごく恥ずかしかったけど、すごく嬉しい気持ちになりました。
やっぱりすごいレイヤーさんは近くで見てもめっちゃ綺麗…と思うと同時に自分のメイクの汚さに恥ずかしくなりました。でも、写真を撮ってくれた人や、声をかけてくれたレイヤーさんが、「初めてなの?!すごいじゃん!たのしんでね!」などと言ってくれたので、総合的に楽しかったなぁと思います。あの時暖かく声をかけてくれた皆さんには感謝しています。
帰るころには自分が暑い中沢山歩いて知らない人たちとも沢山話して、めっちゃ疲れてたんだ!ということに気付きました。家に着いたのは晩御飯の時間を過ぎたくらいの時間でしたが、疲れているはずなのに興奮冷めやらぬという感じで、Twitterで繋がった人たちにお礼の連絡をしたり、めちゃくちゃレタッチの早い人から写真が送られてきたりして、見返して楽しかったなぁと思うなどしました。

やってみた感想

コスイベ終わって1週間後くらいまで、ポツポツと写真のレタッチが終わった方から写真が送られてきて、時間をかけて加工してくれたんだぁ〜、画質すごい…。とただただ圧倒されていました。準備段階から当日まで、自分の知らない世界を知れた事がとても興味深かったです。
また、コスプレメイクとか舞台メイクみたいなものは普通に生きてたら関係ないと思ってたんですが、案外普段のメイクにも活かせる部分があって、なるほどな、と思いました。それまで適当に塗ってたけど、塗り方一つで自分のなりたい「可愛い」とか「かっこいい」になれるんだと思えたのは、結構大きな収穫だったと思います。

最後に


家の中でコスプレメイクの練習だけでもやるのはすごく楽しかったです。やる前の私みたいにコスプレやった事ないしハードル高いよ〜、と思ってる人って結構多いんだろうなぁと思いますが、案外1人で参加してる人も多くて、イベントなら知り合いも増やせるので、初めてには丁度いいんだなぁ。と思うなどしました。やってみたいなと思ってる人の背中を押してあげれたらいいな、とふんわり思うなどしてここで終わりにします。

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