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最強の原動力


僕の原動力は「目標」でした。

プロになりたい。

試合に出たい。

J1に昇格したい。


たくさんの目標がありましたが、プロになってからは達成した目標より達成出来なかった目標の方が遥かに多いです。これは僕に限ったことではないと思います。


だからこそ「目標」だけを自分の原動力とするのは少し弱い気がしています。

目標」は目指す時には大きなエネルギーとなりますが、到達して結果が出た時に満足したり、失望したり、一喜一憂したりします。

目標」は一心不乱に突き進めば大きなエネルギーとなりますが、道の途中で迷ったり苦しい状況にさらされた時にブレやすく脆いものです。

目標」は今回のコロナショックのように自分でコントロール出来ないような外的要因によって左右される事もあります。

目標」は人を動かす大きなエネルギーに見えて、実はあまり効率は良くないし、最終的なゴールがなければ、暴走したり露頭に迷ったりするものです。



では「目的」はどうか。


最近様々な形でサッカー以外のトップアスリートの方とお話しさせてもらう機会が多くあり、改めて「目的」について考えさせられる事が増えました。

サッカーというスポーツは世界的にも最もポピュラーで社会的な認知度も高いので、サッカー選手はプレーする競技の魅力やプレーする目的を考える必要に迫られる事はありません。

プレーするだけで、多くの温かいサポーターが応援してくれて、多くのスポンサーの方々がクラブを後押ししてくれて、毎日練習する場所があって、週末には自分を思いっきり表現するスタジアムがあります。


でも一般的にマイナースポーツや社会人として働きながらプレーするアスリートは日々自分の競技の魅力やプレーする「目的」について考える必要に迫られる瞬間が多くあり、それを言葉で人に伝える事が出来る選手が多いように思います。


なんのために「目標」を達成したいのか。

「目標」を達成して、どうなりたいのか。

そもそも何のためにプレーするのか。


これが「目的」です。


「目標」は「目的」を達成するための「手段」にすぎません。

最終的に目指すゴールに近いものだと思います。


なぜJ1に昇格したいのか。

何のためにプレーするのか。

僕の最終的な目的は何か。

僕は最近この「目的」について深く思考を巡らせるようになりました。


目的」を持つ事の重要性を感じたエピソードをいくつか紹介します。


最近で言えば、2019年の女子サッカーワールドカップでのアメリカ代表の優勝です。

優勝後のニューヨークで行われた祝賀パレードでのキャプテンのラピノー選手の演説をYouTubeで見て、強く心を動かされました。


正直僕はこの大会を見ていません。ですが、このスピーチを見ればラピノー選手がどのような思いを持って、どんな覚悟でこの大会に臨んだのか、試合を見なくても想像がつきました。

ラピノー選手の「目的」は明確でした。

「男女間の賃金格差を無くして平等な社会を実現したい。」

彼女のその発言や目的自体に対して賛成とか反対とかいう立場ではありません。

彼女のワールドカップ優勝という「目標」を通して、「平等な社会を実現したい」という「目的」を掴もうとする姿が僕にはとても強く、最高にクールに映りました。

ワールドカップに優勝したい。という原動力より、平等な社会を実現するためにワールドカップに優勝したい。という原動力の方が圧倒的に強いんだと感じました。


また東日本大震災の後のベガルタ仙台の躍進は、「被災して苦しむ人々を勇気付けたい。」という「目的」をチーム全体が共有出来たことに大きく関係すると思いますし、近年のラグビー日本代表の目覚しい活躍は「日本におけるラグビーというスポーツの価値を高めたい」という「目的」が選手やチームを奮い立たせていたように思います。


その目的を意図的に設定したかどうかは別として、目的を持ったチームや人は苦しい状況でもブレずに前に進むエネルギーを持つ事が出来るし、「目的」を本気で掴みに行く時にチームや人は本当に大きなパワーを発揮します。


そして「目的」を掴みに行く選手やチームの姿勢や姿は結果的に「目標」を達成したかどうかに関わらず、人の心を動かします。


重要なのはその「目的」が本気かどうか、チームであれば本気で皆が「目的」を共有出来ているか。だと思います。


目的」を決める時に周りに合わせがちですし、必ずしもそれが世間的にカッコいいとは限りませんし、受け入れられるかも分かりません。むしろ「目的」を事前に自分で設定したり、探す事が正しいのかも僕にはまだ分かりません。


でも確固たる本気の「目的」を持った人やそれを共有したチームが強いのは確かです。


僕も今更ではありますが、本気で自分がブレずに追い求めるサッカーや人生の「目的」をアグレッシブに探しにいきたいと思います。


それが僕の新たな最強の原動力となると信じて!
















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