見出し画像

大人になったら、



こんにちはyuzuです


今までも読書をしては記録とお薦めとして
noteに書いてきましたが
ネタバレをしないようにと気にして書いていたので
書き方を少し変えてみようかと思います✍️


もう少し自分の率直な気持ちを
ネタバレはするかもしれませんが
綴りたいなぁと

というのも今回読んだ本が
そうゆう気持ちにさせてくれる本だったからだと思います


「大人になったら、」
著者:畑野智美

本を選ぶとき、本の裏に書いてある文章を少し読んでから
ジャケットとあわせてどんな内容か自分なりに想像して
面白そうだったら買う、って感じなんですが
今回も例に漏れず選び方は変わらず買った本です📚


35歳の誕生日を迎えたメイ。
「いつから彼氏いなんですか?」
「何が目標なんですか?」
失礼な後輩に憤慨しつつも、カフェの副店長として働く日々は
それなりに充実している。
毎日同じメニューを頼むお客さんも、そんな日常の一部だったのだけど…。
久しぶりの恋に戸惑う、大人になりきれない私たちの恋愛小説。



恋愛小説ってジャンルとしてはあんまり読まないので
久しぶりに読んでみて著者畑野さんの
何気ない風景を表す言葉の巧さや
「こんな人いるわ〜」と周りには数人いるであろう
登場人物たちであったり
職業も飲食店と結構いろんな人がアルバイトや
利用したことがある馴染み深いところでの設定で
一見書きにくそうなのに丁寧に描写されているがゆえに
親しみやすさの中に「本」であり「フィクション」という
非日常を感じる作品で最後まで楽しく読めました◎


読み始めるまでは
他にも買っている本に手を出しそうになったり
最近買った「満月珈琲店のレシピ帖」をめくってみたり
大好きな水族館がまとめられている「日本の美しい水族館」を
めくって行っていない水族館を見てみて次はどこへ行こう
なんて考えたりしていました🐡🌝



決して読みたくないわけではなかったんですが
今の環境だったりを色々考えた時に
いやいや、久しぶりの恋に戸惑う、大人になりきれない
ってなんか離婚してすぐにはなかなかのパワーワードやで

と少し本との距離があったのは確かです


しかしこのままじゃ後に控えている
芥川賞受賞の「おいしいごはんが食べられますように」も
なかなか読めないし、「つなぐ」の続編も読めないので
読むぞ〜!とパラパラし始めてからは
なんと3日で読破

確かに時間は今あるけれど
読書の時間を決めているので
(朝一と昼一と夜寝る前30分)
結構ハイペースだったのでは?と思っています



それほど面白かったんです


自分自身に「侮るなかれ、恋愛小説…」と、
本のジャンルを得意不得意、と決めつけて
「あまり普段読まないから…」と好きな作家ばかり読んで
いるのは違うぞと喝を入れました🤜🏻🤛🏻


恋愛小説って私の中でむかーし流行った
〝携帯小説〟がイメージとしてあったので
全然違ってびっくりしたのもあります(そりゃそうだ)




主人公のメイは母をガンで亡くしてから
ずっと自分自身の体のことを気にしている節があります

初めの文章でも
日本の女性の平均寿命は87歳と少しだ
と記載がありますし命についてすごく敏感に
生活しているなと感じていました

あとはメイが35歳になったところから
物語は始まるのですが
35歳から妊娠がいわゆる高齢出産と言われる
という意味からも女性の人生とはシビアなものだ
といった雰囲気を感じられる導入となっています


自分では変わっていないつもりでも
人から見たらわかるんだ。
ぬるま湯で顔を洗う。
顔の洗い方だって、洗顔フォームだって
10代の頃とも20代の頃とは違う。

作品内より抜粋



こうゆう表現だけでも何度でも
読んでいたい私的に気持ちのいい文章です


そんなメイの名前は5月かな、カタカナだし
なんて思っていたら漢字で「命」と書いて「メイ」でした


上記でも少し触れた通り
健康であったり妊娠であったりに
シビアに反応しているのは35歳の独身女性だから
って意味だけではなく「命」って書いて
「メイ」だからなんだと知った時は
心の中で作者にスタンディングオベーション👏


二重で含ませられた意味に
読み手側からすると気持ちよくハマった時ほど
「いい本だ!」と思えることはないです

それが中盤くらいだったので
そこから終盤まで一気に読んだ漢字でした👀




メイ自身8年間彼氏がいない、体の関係は10年持っていない
というのが最近でいう拗らせ女子そのままで
生々しい描写だったと思います

自分の周りにも
一人暮らしに慣れすぎてしまって
もう誰かと暮らすことが想像できない
という友人や
頑張っていい人を探しているけれど
なかなか理想の相手に巡り会えず
結局結婚できず最後に彼氏ができたのは
いつだったっけ?
という人が案外いるもんです


そして離婚をした今
私ももしかしたらそうなるかもしれないし
「子供が欲しい」という気持ちも
すっかりどこかへ行ってしまったので
趣味等の自分の時間に没頭するのは可能性としては
大なんですよネ


作品内で
帰国子女でガールフレンドが
4人いる(本人曰く4人は少ない)杉本くんが
「性欲がないのは人間として気持ち悪いですよ」
と言っていたけれど本当にその通りかもしれないな
と思いながら読みました

目を背けてはいけない一文だった気がして


どんな形であれ
男女が一緒にいてそういった雰囲気にならなかったら
駄目なところもあると思います

私自身が正直、そういった気持ちにならなくなったので
子供を産みたいという気持ちも一緒に
どこかへ行ってしまったような気がしているので

しかも子供が欲しいと思わない=彼氏・夫はいらない
と思ってしまうのではないか?とも思うんです

だってパートナーがいないと
子供だってできないですし
そこは=なんじゃないかと思うんですよね


どうしても少し歳をとると
「昔みたいに体だけの関係なんて無理」
「不衛生」
と思ってしまいがちなんだけれど
世の中案外そうではないのかもしれない
と本を読んでいて感じました


何が正解かは分かりませんが
少なくともそんな枯れたことを思っていては…
と何か駆り立てられるものと
躊躇う気持ちが今は同居しております🏡


まぁ今すぐどうこうなんて
考えなくていいんですけれど(_ _).。o○




メイは今までお付き合いしたことがある男性が
一人だけでその男性とは結婚を見据えて
お付き合いしていたんだけれど
いろんなことがあってメイに唐突に別れを告げ
すぐに結婚して子供が二人できてしまいます

そんな彼を忘れることも許すこともできず
8年間彼氏を作らず出会いも求めず
カフェで副店長として働きます☕️


そのカフェに毎日欠かさずランチを食べにくる
塾講師の羽鳥先生は数学の先生で
〝カリスマ数学教師〟として働いている人です

次第にこの二人が惹かれ合う描写になっていくのですが
二人とも35歳で恋愛経験が過去1人なんですよネ



メイも確か1人なんですが
羽鳥先生はお付き合いしたのは半月
しかも大学院にいるときに派遣でお手伝いに来てた
女の人の浮気相手だった(女の人には別の彼氏がいた)
という恋愛しかしてこなかったという
恋愛経歴でした


これはあくまで私の見解なのですが
やはり世間一般で言う「いい年」して
フリーな人はどれだけ顔が良くても
どれだけ仕事ができてお金があっても
性格に難があったり何か人間的に
少し癖があって人を避けて生きてきた人なんだな
と思います

人を信じて裏切られるのが怖かったり
冷静になりすぎて結局何もないまま
周りの流れから置き去りにされていたり…



若い時っていい意味で怖いもの知らずで
勢いだとか「好き」って気持ちだけで
突っ走っていくだけの気力と元気もあるんです

でもそれはきっと間違っていなくて
「覚悟」さえあれば他人を信じることだって
許すことだってできると若いうちに知れるんですよね、きっと



それを避けてきた人には
きっとその壁はとっても大きく
自分では登れないと諦めることが多いんだと思います
一人だったら確かに登れないかもしれないけれど
二人だったら、とは考えることもできずに
そこで思考停止をしてしまうんでしょう…



今、私が思うことは
メイも作品内で言っていた「家族が欲しい」です


私には両親も弟もいるし姪っ子、甥っ子もいるし
祖父母もまだ健在です
もちろん戸籍上、家族ですしそれは
これからも変わらないことです

でも今はもう「家族」でも「帰る場所(安心する場所)」
でもなくなってしまっているんです

嫌いになったわけではありません

しかし離婚というので
私以上に傷ついたのが両親で
特に母親とは今も連絡が来てもすぐに言い合いになります

ハタチを超えたあたりから
「あ、親も人間で大人じゃないところもあるんだな」
とたくさん感じてきました


そして人間とは大変な時こそ本性が出るもんです


離婚の際
私が体調が著しく悪かった時も
結局何かしてくれた、と言ったことはなかったのが
私の中では大きな出来事でした

親も大いに巻き込んだ離婚だったので
親が疲弊するのも分かります
だけれど、当事者の私を差し置いて
私が離婚をしたことで親が私以上に
傷つくのは私が泣く場所や頼れるところを奪う行為でした


そしてなぜか次の話をされるのもしんどく…

「次もし結婚する、となっても前のようには
いかないと思っておいてほしい」

「流石に自分達も慎重になっているということを
知っておいてほしい」

と言われました


結婚というのが親親戚を巻き込むことは
重々承知しているつもりです


でも私の人生であり
私が決めることでもある
ということを逆に両親には知っておいて欲しいです


それがどんな相手であろうと
娘の幸せを思っての行動ではなく
自分達の保身のための言動になるのであれば
私は辛いなぁと思います



結局、最後の最後まで私は元夫に甘えてしまっていました
私も元夫を傷つけ別れたので
できるだけ感情的にならないように
淡々と事務的なことも進めようと思っていたのに
電話すると泣いて当たってしまったりもしました

きっと連絡を取るのも最後だろう
って日は今までありがとうの気持ちも
全力で伝えたつもりです


元夫の方が正直、「家族」でした


確かに別れには至ったけれど家族でした



形は歪だったかもしれませんが
私を大切にしてくれていたと心から思っています


そんなことを思い出しつつ
こんな風に思えるならきっと
前に進めるだろうと本を読み進めました
(突然私語りすみません🧎🏻)



結局、メイと羽鳥先生もいい感じなるも
恋愛後拗らせたが故になかなかうまくいかず
メイは東京から北海道へ異動になります

そこからラストスパートなのですが
展開は読めても話の締めくくりが最高だったんです…!


もちろん、北海道に羽鳥先生はきました←
(いや、だってここで来ないと羽鳥先生の意味がなくなるので笑)


最後の一文が
「この街の春は、東京よりも遅くくる」
なんですが、もう余韻がすごい一文えです…!

結婚を周りよりも遅くするであろう
メイや他の登場人物に対しても「春は遅い」とも捉えられます
また、雪が溶けて春が来るわけですから
その「雪」が過去に縛られているメイと羽鳥先生のことを
表しているような気がして素敵な文章だなと
読み終えてからしみじみ思いました◎

なんだかもう普通にその辺にいるような
登場人物ばかりだったのに
全員が愛おしくなるような文章での締めくくりで
「いい本読んだ〜✨」と💮



メイと羽鳥先生が
勢いがある恋愛でなくても結婚でなくてもいい
波がほとんどないような大きな海のような
穏やかな過ごし方をして
お互いが「命より大切」と思える中に
なっていけたらいいなと🕊



優しい人間ほど往々にして水面下では戦っているもんです
潔癖症で完璧主義者ゆえの戦闘を



私はこれからどうなるかなんて分かりませんが
自分がいいと思えたヒトやモノと
真剣に向き合えるだけの体力と柔軟性、素直さを
兼ね備えた強い人間になるべく
外見ともに内面も磨こうと強く決心させられた
一冊でした



ご興味がある方はぜひ



それでは、また





この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?