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おいしいごはんが食べられますように




こんにちはyuzuです


先日
第167回芥川賞受賞作品の
「おいしいごはんが食べられますように」
を読了しました


高瀬隼子さんの作品を読むことが初めてで
こうゆうところも芥川賞や直木賞のいいところだなぁ、と

普段読まない方の作品も芥川賞と直木賞を受賞されている本は
基本的には読むようにしているので新しい
作家さんとの出会いがあっていいですよネ

やはり自分の好きな作家さんを読みがちになってしまうので

何事も新しい作品やモノに目を向けていくのは
大切なことだと思います◎




さて、本の感想に入ろうと思います


本の題名からして
何だか心温まるような
例えるなら暖色系のライトに照らされて
食事の用意をして美味しいご飯と
何ならお食事にあう美味しいお酒をモチーフにした
そんな本かと思って手に取りました

今回は珍しく、帯もまともに見ず本のあらすじも皆無だったので
読み進めていくうちに想像していた内容と異なりすぎて
びっくりしました





一日3食カップ麺を食べて、それで健康に生きていく
食の条件が揃えばいいのに

一日一粒で全部の栄養と必要なカロリーが
摂取できる錠剤ができるのもいい

それを飲むだけで健康に生きられて
食事は嗜好品としてだけ残る
酒やタバコみたいに、食べたい人だけが食べれればいいってものになる





上記の内容が目に入った時
主人公は私とは違った考え方で生きていて
その姿があまりにリアルに描かれていたもんですから
身近にいる人に感じて少し胸がざわつきました

ただ、胸がざわついた理由というのが
私もどうしようもなく自分自身だけの食事の時
「お腹が減るのって面倒だな」
と感じたことがあったこと
それが定期的に来ることを
再認識させられたからです


たまに過食と拒食を繰り返す時がありまして…


大体、メンタルがお豆腐状態の時なので
そんな時こそ栄養がしっかり取れて
健康に生きられる錠剤があれば助かるなぁと思います
点滴なんかよりもずっといい



でも美味しいものを食べた時はやっぱり感動するし
私は食べることが大好きだな、とやはり再認識するし
そうやって生きていくんだと思います




主人公は
会社の同僚が毎週「おやつに」と作ってくる
ケーキやマフィン、クッキー等々を
「後で食べます」と言って皆が帰った後
ぐしゃぐしゃに握りつぶしてゴミ箱に捨ててしまうほど
〝食〟に対して嫌気が差している人間です

差し入れを作ってくる同僚は
誰にでも笑顔で嫌なことをされてもニコニコしている人
そして決して無理をしない人です
頭が痛かったら上司に話してすぐに帰宅する
周りも「彼女はそうゆう人」「無理させると何日も休まれるから」
「今日を早く帰ってもらった方がマシ」と共通認識を持っているような
そんな人で、良く言えば憎めない守ってあげたくなるような人だと思います




そして上記の二人が恋仲なのがびっくり



全く逆な二人で
彼女がご飯を作りに家に来てくれた後に
彼は気持ちを満たしたくてカップ麺をこっそり食べる
といった描写もあります




私は両方の気持ちがわかるなぁ
と思いながらも
読了する頃には口から腕を突っ込まれて
胃の内容物をぐちゃぐちゃにされたような
そんな気持ちになりました





仕事が忙しくて
ご飯を食べること=作業
になっている人が多い世の中だと思います

お腹が満たされればいい
という考え方が多いからこそ
コンビニエンスストアで見かけるドリンクが
飲むだけでプロテイン(タンパク質)がしっかり摂れるものがあったり
ビタミンが豊富に入ったスムージーが売れていたり
カロリーメイトがどんどん進化したような食べ物があったり
そうゆう需要が増えているんだと感じます


確かに実家や同棲している彼女(料理好きに限る)
既婚者でなければ帰宅して自分でご飯を作って食べて
食器を洗って、としていたら小一時間は必ずかかります
そこからお風呂に入って寝る、となると
〝自分〟としての時間は1日に30分もないんじゃないでしょうか

寝ることを惜しんで携帯に勤しむのはなんか違う気がしますが
今の時代の流れだとまぁ【自分の時間=携帯を構う時間】かなと思います



時間があれば読書をしたり何か趣味をするよ
って人もいるかもしれませんがそれは私は違うと思うんですけどねェ
私だったら寝るまでの時間も読書やストレッチの時間にあてます
(話が脱線しそうなのでこの話は置いておいて…)




ただ、そこまでして自炊をして体にいいものを!と言われると
嫌気がさすのもわかります
とってもわかります

しかもおやつを作ってこれるほど余裕がある
同僚に言われるとそれが恋仲だとしても
なんでこんなに考え方が違うんだと
その一点においては合わないなと感じてしまうと思います




読み終えた今、この本の私の着目スポットは
何を大切にして生きているか
だと感じています


なんの為に生きるのか
何を楽しみにして生きるのか


先日、テレビで子供の将来の夢ランキングを見かけました

私が小さい頃は、女の子は
お菓子屋さん、お花屋さん、お嫁さんetc…
男の子は
サッカー選手、野球選手、宇宙飛行士、パイロットetc…
ってな感じでしたが最近の子は
男女ともに
会社員、公務員
がダントツでした

中にはYouTuberとかもありましたが
上位3位にランクインせず…

なぜ公務員や会社員がいいのかという理由が
「安定しているから」
でした



小学年の子たちがもう夢を語ることができない
夢を見ることもできない世の中なのか
と感じた瞬間でもあり
この本を読んだ時、大人が毎日を楽しむことができていないから
子供にそれが伝染しちゃっているんだな
とも思ったんです


子供って敏感に感じ取りますし
案外大人の会話を聞いているもんですからね…



そんな世の中をこんなにも読みやすいタッチで
でも現実を忠実に描いた作品で
思うところたくさんの読みやすさの割に
消化不十分になりやすい本でした📚





世の中のそういったところが気になっていても
なかなか文字にして人に伝えるのは難しいです

でも本や絵って本当にそれが描かれた時代の背景が
ありありと解るじゃないですか

それって本当にすごいことですよね🧎🏻



そして読む側、見る側の感性によって
幾通りもの解釈ができるので
あーでもないこーでもないといろんな話ができるのも
楽しいです


今年は例年よりもたくさん本が読みたいな〜〜〜



おいしいごはんが食べられますように
高瀬隼子作

おすすめの本です^^

是非に




それでは、また





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