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懐かしい、素敵なお正月

最近、ふとした時に、懐かしくなる景色がある。

朝、目が覚めると、祖父母の家の和室の一間。築40年、いやそれ以上の古い天井。まだ、みんな寝ていて、今何時だろうとおき上がった時に、見える朝の風景。

障子から光が差し、ほの白く明るい室内。冬にぴったりな静かな朝。

私は、この景色がすごく好きだった。

別に、その当時、その景色が好きだったわけではないが、今思い出すと、まさに田舎での暖かい思い出の一つである。現在、祖父母宅は住人をなくし、閑散としており、時たま庭の自由奔放な草たちを整えに、植木屋が来る程度。

私は、未だ、誰もいなくなってからの祖父母宅に足を踏み入れることができないでいる。

怖いのだ。あの頃の思い出が愛しすぎて、現実を受け入れるのが。

私の場合は、祖父母の家にそんな思いを抱くが、きっとそれぞれにそれぞれのそんな思いを抱くものがあるのではないかと思う。

だからこそ思うのが、今、当たり前のような毎日は、本当にかけがえのないものだと思った。振り返って懐かしく、素晴らしい、二度と帰ってこない景色をこれからも大切にし、いつか現実に向き合えるまで、のんびり時間をかけていこうと思う。

本当に思い出として消化しきれるまで、ゆっくり歩いていきたい。

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