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幻覚(み)ちゃった♡(入院生活シリーズ番外編⑴)

 今日はね、とうとう幻覚(み)てしまったのですよ。最初は幻覚だって思ってたけど、主返してみれば半信半疑というか、幻覚の半信半疑って面白いね、要はいまだに実際に起こった出来事だと思ってるってことなんだけれども。今日も今日とて夜中に起きてしまったもんだから、同室の人を怒らせたんじゃないのかなって思いながら寝たのがよくなかったね。気づくと、ちょっとだけカーテンが開いてて、そこから灰色と白の縞々パジャマの少年が
ぬーん
と顔をのぞかせて、私の部屋を見回して――正確には、見まわそうとして、気配に気づいた私と目があって――部屋ごとに一つ置いてある 薬の包み?を入れる小さな入れ物をあさっていたが、それを投げ捨てるようにして――去っていった。その去り際を(絵心のない私が)漫画に描くなら、きっと「キャッ(目があって犯人?が驚いたときの擬態語)」「ドピュー(去り際の逃げ足の速さ←血が噴き出ている音ではない。断じて。)」となるだろう。ナースコールを押そうとして、ふと気づく。すぐ気づいて「キャッ」「ドピュー」だったから、もう証拠なんか残ってないし(実際の出来事だったとしても)、下手をすると虚言癖があると思われかねない(ナースコールを無視されて亡くなった人の話を聞いたことがある)。ナースコールをやめたら、一呼吸できた。そしてそれとともに、考える余裕も。……待てよこれは、「アレ」じゃねぇか?!と。まず、私の裸眼の視力からして、「灰色と白の縞々パジャマ」なんて見えるはずがない。それにそもそも、部屋の中は暗く、通路のほうが明るかったわけだから、逆光になってシルエットぐらいしか見えなかったはずである。そして、いくら警備ががばがばでも、「少年」が女部屋に入るのを見逃すほどなのか?!とか、じゃあ、若しあり得るとしたら同室の人……?とか思ってたら、寝られなくなった。残念。

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