マガジンのカバー画像

結月美妃の着物読本

6
着物の着付けのこと、着方のこと、着物の種類のこと。また着物を着るということはどういうことか、そして、着物を着たら、あなたはどうなるのか、ということ。
運営しているクリエイター

2017年11月の記事一覧

(4)着物はコスプレであってはならない

(4)着物はコスプレであってはならない

 今は着物が特別なものになってしまって、街でも着物姿を見ることはほとんどありません。あったとしても、わたしの目から見て、着こなしているなと思えるひとは滅多にいません。

 では、着物を着こなすとはどういうことか? 実はそれは着付けをバッチリと仕上げることではないのです。

 昔、宇野千代という作家がいて、彼女は着物のことが好きで自分で着物のデザインもし、銀座に着物の店もオープンし、着物雑誌まで刊行

もっとみる
(3)着物はあなたを丸裸にする

(3)着物はあなたを丸裸にする

 着物は不思議なもので、着るひとの内面、生活水準、教養の具合、育ち、生い立ち、そういったものすべてをあからさまにしてしまいます。

 「馬子にも衣装」という言葉がありますが、着物はそうはいきません。中身がないひとに極上の友禅を着せたところで、むしろ着物のほうが勝ってしまって、着るひとをみっともなく見せるものです。

 着付け師にいくらきれいに着せてもらっても、その浮かれた表情でこれまた芯のない女に

もっとみる
(2)楽しいの前に「美しい」

(2)楽しいの前に「美しい」

 着物というのは、着る物であって、定義するには広すぎるし、洋服ではない日本の衣装が着物と言われています。

 大昔は服と言えば着物しかなかったので、着物を着ることが普通であり、そんな気張るものでなかったはずです。

 昭和初期など洋装をするほうが珍しく、モダンボウイ、モダンガールなどと呼ばれていたようですから、やはり着物のほうが日本人にとっては当たり前だったと言えます。

 それが今は洋服のほうが

もっとみる