【七十二候】季節と言葉たち〜魚上氷(うおこおりをいずる)
七十二候:
第三候 「魚上氷」
(2/14~2/18頃)
第三候「魚上氷 (うおこおりをいずる)」 2/14~2/18頃
凍っていた川や湖の表面が割れだすようになり、水の中に棲む魚たちが少しずつ暖かさを感じ、割れた氷の下から跳びはねる頃のこと。
テーマ「魚上氷」
(エッセイ)
魚にはやってくる季節がありまして。よって「春告魚」なんて呼ばれる魚ちゃんもいるわけです。
私は小樽出身ですから、春告魚は一も二もなくニシンです!
異論は認めます(笑)
ところで皆様は「ニシン御殿」という言葉を聞いたことがありますか?
小樽には、かつて栄えていた頃に建てられた「ニシン御殿」と呼ばれる豪華な建物がいくつか残っています。
ただいま上映中の映画「ゴールデンカムイ」の原作に、この祝津にあるニシン御殿が出てきます。
漫画では、祝津のこのニシン御殿と、旧青山別邸(めちゃくちゃ豪華だから見てね!)をモデルにしており、そのおかげで聖地巡礼の人がたくさん来るようになっているようです(*^_^*)
映画つながりでは、のんさん(あまちゃん)が主演した「天間荘の三姉妹」のロケ地となったのも、やはりニシン御殿だった「銀鱗荘」という旅館です。
こちらは芸能人さんがお忍びで来るとかこないとか。
高級旅館ですので、いつか泊まってみたいです(*^_^*)
あまりにもお金がありすぎて、お金が入った箱(銭函)が山積みになっていたので、銭函と地名がついた駅に今も残る銭函(改札を通らないと見られない)
突然ですが、私、小樽市の「おたる案内人」の資格を持つガイドでもありますので、小樽とニシンについてちょっと語らせちゃってください。
「小樽はかつて、ニシン漁が栄えて東洋一と言われるほど豊かな町でした」
と伝えると、「全国でそんなにニシン食べるん?(聞いたことないよ)」と言われること多いです。
ノンノン(人差し指を左右に振る)、違うのです。
ニシンは食用だったのではなくて、肥料になっていたのです。
ざっくりとできる限り簡潔に説明しますよ、みんなついてきてね~(^^)/
この国は、明治時代以降、鎖国から一気に世界と繋がる国になりました。
だがしかし、海外から輸入品は溢れるように入ってきましたが、こっちから海外にうって出ちゃう商品がなかった!
そこで、絹や綿などを輸出品にしようと政府は考えて、製糸工場や綿花の畑をたくさん作ったのです。
ああ、野麦峠の世界ですね。
ネタバレするので書きませんが、もうずっと号泣(いつだって犠牲になるのはって奥歯ぎゅっとかみしめちゃいます)
ちなみに明治の末頃には日本は生糸の輸出では世界第一になっているんです。
綿工場のほうも、たくさんの工場があった大阪は「東洋のマンチェスター」とよばれるようになり、その後、日本は世界最大の紡績大国に成長していくのです。
日本エゲツな!
ニシンは綿(花)に関係して登場するのです。
当時、綿糸の原料となる綿花を大量に育成しなくてはならず。
その頃使われていた肥料は、魚を原料にしていました。
畑の面積が増えるのなら、当然必要な肥料の量も増えるわけで。
ところがこんな大事な時期に、肥料の原料であったイワシが不漁となってしまう。
魚!!
肥料になる魚がない!!
と、人々が躍起になっていた頃。
職を失った武士など、たくさんの人たちが開拓を始めていた小樽という小さな漁村で、ばかみたいにニシンが大量にとれていた。
すわ、ニシン!!
そうです。ニシンは食料として売られていたんじゃありません。肥料の原料(鰊粕)として売られていたのです。
全国から金に糸目を付けぬ、ニシン、ニシンをくれ~と、どんどんお金が小樽に流れてきて、とってもとっても追いつかず。
一攫千金を夢見た人も、そして実際お金も商人も一気に大量に流れ込み、気が付けば、運河沿いに倉庫と銀行が立ち並ぶ、とんでもないほどの豊かな町になったのです。
ええ、ええ。
ニシン御殿(旧青山別邸)に機会があれば足を運んでみてください。
こんな田舎に(自分で言う分にはいいですよね?笑)こんなとんでもないお屋敷やら調度品やらが!と目を見張ります。
しかし、あっという間に大量のニシンは去り、化学肥料にとってかわられ、気付けばすっかり斜陽の町。
その栄華とさびれた雰囲気がまさにノスタルジック!(小樽べた褒め)
みんな、小樽に来てね。
春先にニシンが海岸に大量に押し寄せてきて、オスのニシンくんたちが大量に製糸ではなくて精子を放出するため、海の色が青ではなく、白(乳白色)になるという群来(くき)という現象が起きます。
札幌駅から小樽行のJRに乗ると、ずっと海岸線の線路を走っていくのですが、朝里駅あたりで群来が普通に窓から見られるので、気にして眺めてくださいね~
うむ。
全然魚上氷感がなかったですね(笑)
七十二候の説明
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