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「精霊」ショートショート

3月18日 精霊の日
歌人の柿本人麻呂 和泉式部 小野小町の忌日と言われている(諸説あり)
精霊はしょうりょうと読み死者の霊魂を意味する

「今日、精霊の日」
「何それ」
「歌人の柿本人麻呂と和泉式部と小野小町の命日らしい」
「ほんとに?」
「いや諸説あるって」
「諸説って何?」
「これ付けておけば深く突っ込まれても逃げられる魔法の言葉」

「精霊と言えばあれだよな、お盆の」
「あれな、精霊馬」
「キュウリやナスに箸ぶっさして馬や牛に見立てるっておもしろいこと考えるよな」
「最初に思いついたやつ誰だろうな」
「そうとう暇だったんだろうな」
「もともとは平安時代に貴族たちが麦わらで作ったのが始まりらしい」
「優雅なことですなあ」

「あれ、乗ったことある?」
「……」
「乗り物なの? 飾りだと思っていた」
「乗る乗らないは別にして、そういうものを準備してもらえるのは嬉しい」
「まあなんだ、日本人の感性のたまものだあれは」
「ああいうものを作りながら死者に思いをはせるのさ、ありがたいじゃないか」

「そもそも生きている方が何で死んだ後のことを決められるのかな」
「ね、なんで分かるのかな」
「死んだあとなんて生きている側の理の外のことなのに」
「天国とか地獄とか死んでもいないのに分かるわけない」
「生きている人間に都合のいいように設定されているだけだよ」
「生きていてもルール、死んでもルール、勘弁してくれ」
「諸説あります」

「ところで精霊の日って何をすればいいの」
「さあ」

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