3/28「サイダーと魔法使い」ショートショート
しゅわわわわ。
氷の入ったコップにサイダーが注がれて、炭酸がはじける音が耳をくすぐる。
コップの中でゆれる泡がきれいで、幼いわたしは夢中になってそれを眺めている。
「よし、じゃあお父さんが今から魔法をかけます」
ちちんぷいぷいのぱっ!
お父さんが魔法をかけると透明だったサイダーが緑色に変化する。
「メロンソーダみたい!」
わたしははしゃぐ。そんなわたしを見てお父さんは満足そうに目を細める。
緑色のサイダーは透明だったサイダーより甘さが増して、わたしはその甘さのとりこ。
こんな