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神戸の思い出アラカルト ―思いがけない野外授業―

二度目の神戸行きも、通信制大学の地方スクーリング受講が目的だった。
(※通信制大学の地方スクーリングについては、シリーズ初回「神戸の思い出アラカルト ―初めての神戸行き―」に解説あり)

この時は、講義担当の先生が粋な計らいで、野外授業と称して「布引ハーブ園」に連れていって下さった。

思いがけず、有名な観光スポットのひとつに行くことができ、とても嬉しかった。
目的がスクーリングである限り、観光を十分に楽しめる余裕はない。
たった一か所でも観光できるなら、そんな嬉しいことはなかった。

たしか、ロープウェイは使わず、徒歩で「風の丘芝生広場」まで登っていった。
温室は、時間の都合で前を通り過ぎただけ。

お土産物を買うための時間中、カフェでお茶を飲んでもいいと言われ、ハーブティーを楽しんだ。
名前は思い出せないが、ローズヒップがメインのハーブブレンドティーだったと記憶している。

疲れた足を休めるには、ちょうどいいティータイムだった。
学友にハーブティーを飲む姿が優雅だと言われ、悪い気はしなかった。

布引ハーブ園」を出た後、おしゃれなショッピングビルに立ち寄り、それぞれ好きなお店でランチを食べることになった。

一緒に行動していた学友が、思いがけない出費でランチにあまりお金をかけられないという。
ビル内の案内図を見て「ATMがない」と、浮かない顔をしていた。

スクーリング会場まで戻る交通費や、そこから宿泊先までの交通費を考えると、本当にランチ代がギリギリだったのだろう。

そこまで切実ではなかったけれど、私も、突然の野外授業で予定外の出費をすることになったのは変わりない。
現に、ハーブティーを飲む代わりに、お土産物を買うのは諦めた。

地方スクーリングは、開催地の地元民だけとは限らず、交通費や宿泊費をかけて受講する遠方の学生も少なくない。
ギリギリの予算で参加し、突然の出費で困る事情は、察することができた。
ATMもないし……。

ランチ代を安く済ませようと、ハンバーガーショップに入った。
学友の地元にも、私の地元にもないお店。店名は、残念ながら思い出せない。
ピンクレモネードが美味しいお店だった。

テーブルに居る私達を見つけて、別のグループも入ってきた。

「そのピンクの飲み物は何?」と不思議そうな顔で聞かれ、
「“ピンクレモネード”だよ。色はピンクだけど、味は普通にレモネード。珍しいから、頼んでみた」と答えたことを覚えている。

そのグループの中で、誰かがピンクレモネードを注文したのかどうかは、わからない。
一人くらいは、注文していたかな?
20年以上前のことなので、もう記憶が薄れている。

この日は予定外の出費以外にも、ヒヤヒヤしたことがあった。

宿泊先の三田(さんだ)から神戸に向かう電車が、振替休日なのに「平日」ダイヤで運行されており、30分ほど遅刻してしまった。

それでも、先生や同じ講座の人達がスクーリング会場を出る前に、間に合って良かった。

何しろ、野外授業は予定外のことだったので、もし誰も居ない時に到着したら、途方に暮れてしまっただろう。
当時は、まだ携帯電話が普及していなかった。

タイミングの神様に味方された出来事だと思っている。

***

この旅行記は、タダノヒトミさんの個人企画「#あなたの神戸をおしえて」応募作品です。
サブタイトルをつけ、シリーズものとして投稿していきます。

第一弾…「神戸の思い出アラカルト ―初めての神戸行き―

第三弾…「神戸の思い出アラカルト ―かつてあった遊園地―

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