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島崎藤村『初恋』新旧仮名遣い・現代語訳

島崎藤村(とうそん)『初恋』を現代仮名遣いに書き改め、現代語訳に取り組んでみます。
埋め込みツイートのオンラインイベントに参加したい思いを込めて。

島崎藤村『初恋』旧仮名遣い(ルビなし)

※埋め込みツイートの画像から書き起こしています。

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

(島崎藤村『初恋』)

島崎藤村『初恋』現代仮名遣い(ルビつき)

※私なりの書き改めとルビ入れです。

まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思いけり

やさしく白き手をのべて
林檎(りんご)をわれにあたえしは
薄紅(うすべに)の秋の実に
人こい初(そ)めしはじめなり

わがこころなきためいきの
その髪の毛にかかるとき
たのしき恋の盃(さかずき)を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

林檎畑(りんごばたけ)の樹(き)の下に
おのづからなる細道(ほそみち)は
誰が踏みそめしかたみぞと
問いたまうこそこいしけれ

(島崎藤村『初恋』)

島崎藤村『初恋』現代語訳(訳者:夕月 檸檬)

※私なりの訳です。
中高生時代に学んだ古文の知識をフル活用しています。

まだ上げはじめたばかりの前髪が
林檎の木の下に見えたとき
前髪にさした花櫛と同じように
君を花のような人だと思った

やさしく白い手を差し伸べて
林檎を私にくれたのは
秋に人が薄紅色をした実を
恋しく思い始める頃だった

私の無意識なため息が
その髪の毛にかかるとき
君が私のこころの盃に
たのしい恋を酌んでくれた

林檎畑の樹の下に
自然にできた細道は
誰が最初に踏みしめて固めたのだろうと
問いをもらったことこそが愛おしく思えた

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