「これ、コンビニのレジでピッ!とできるとね?」

「お金の代わりにこれを渡すね」
と、チャージ済みのmanacaを、生活費の一部として夫(事実婚当時)に渡した。

電子マネー利用未経験の彼に、電子マネーを使ってみてもらいたかったからだ。

manacaを渡すと、彼は
「これ、manaca? manacaだよね! コンビニのレジでピッ!とできるとね?」
と、興奮気味に言葉を発し、目を輝かせた。

まるで、宝物を手に入れたかのような様子だった。
(まったく、彼はそういうところが、たまらなく可愛らしい!)


manacaの名前や存在自体は、彼も知っていた。
彼の前で使ってみせたこともある。

でも、レジや改札機にピッ!とかざす以外のことは、知らない。
使えるお店は、レジや入口にmanacaのマークのステッカーが貼ってあることや、チャージの仕方などを教えた。
使えるかわからなければ、店員さんにカードを見せて聞けばいいということも。


説明を聞いたあとで、manacaを大事そうにお財布のカードケースに入れていた。

毎朝、出勤前にコーヒーを飲みに立ち寄るコンビニで使うのが楽しみだというのを、全身で伝えてきた。

その様子に愛しさが溢れてきた。


帰国前に、短期間だけ名古屋以外の場所で過ごすというので、
「全国どこでも使えるから、持っていくといいよ。manacaって言うと通じないだろうから、“交通系ICカード”って言えばいいよ。チャージも、よその地方でもできるからね」
という話をした。

でも、カードを作った時のデポジット(預り金)が500円あるのが気になったのだろうか?
私に返した荷物の中に、そのmanacaが入っていた。

コーヒーと一緒に何かを買う時だけ、大切に使っていたようだ。
少し残額があった。

残額を使いきり、デポジットの500円を返してもらい、彼が使っていたmanacaとサヨナラした。


コンビニのレジでmanacaをピッ!としたことも、日本での楽しい思い出になったよね?


※manaca(マナカ)とは、東海地方の交通系ICカードのひとつで、名鉄系と名古屋市交通局系の物がある。発行元がどちらであるかによって、特典が違うというややこしいカード。

有料記事は、note IDがなくても、ご購入いただける設定をしています。 無料記事に対するサポートもお待ちしています♪ note指定の決済手段がない方は、ご連絡願います。