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ミントティーのお風呂

ぼくはクマ型のスマホスタンド。
持ち主の檸檬さんに「クマちゃん」と呼ばれている。

檸檬さんの愛機であるスマホを日々、支えているんだ。
それがぼくのお仕事。

檸檬さんは、いつもいい香りのするお茶を飲んでる。
ぼくには、檸檬さんの飲むお茶が、入浴剤の入ったお風呂に見えるんだ。
マグカップの大きさがちょうど、ぼくがお風呂に入れそうな感じだから。

たまに檸檬さんが、スマホに充電器とイヤフォンを繋いだままイスから動いて、スマホと一緒に落ちてしまうことがある。
落ちないように気をつけてはくれるんだけど、動きかたによっては、バランスを崩してしまうんだ。

ぼくがスマホの下敷きになったり、スマホがぼくの下敷きになったりする。

でも、今夜は違ったんだ。

空中でぼくとスマホが離れて、スマホだけが机の下に落ちていったんだ。

ぼくはどうなったと思う?
しばらく檸檬さんに見つからない場所に居たよ。

ミントティーが入ったマグカップの中に、お尻から落ちたんだ。
ティーバッグがクッションになってくれて痛くなかったし、本当にお風呂に入ってるみたいで、気持ちよかったよ。

また同じことが起きたら、今度は何風呂かな?
春なら、桜のお茶もいいなぁ。

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実話を基に、スマホスタンドのクマ視点で書いてみました。



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