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書と人

「ひとうたの茶席」の連載をすることになって、時々メンバーの方からお便りをいただくようになった。書家の根本知さんからのお手紙は、無論芸術作品のようで、武将の手紙のように将来価値が出るかも知れない、と大切に取ってある。


表具師の岸野田さんもまた違った味のある字で、民芸館などに、昔の偉い人の字として展示してありそうだ。遠赤外線が出ていそうなぬくもりに、「こたつ字」と名付け、お葉書に手をかざしてみたりする。まあこの2人は書道学科なのだから達筆なのは当然と言えよう。
最もおののくのは華道家の平間磨理夫さんの字だ。平間さんはもじゃもじゃ頭にゆるっとした麦わら帽子などでへらへらとした様を装っている人だが、その均整が取れた几帳面な字を見た時、「ああ、やっぱりなあ」と緊張したものである。


そういう3人の字に背筋が伸びる思いがしながら、夫の字を見ると妙な安心感がある。小学校の同級生にこういう字書く子いたなあ。好きな人の名前を消しゴムに書いて、それを誰にも触られずに使い切ったら両思いになれる、という願掛けをしている時に、悪意なくその消しゴムを勝手に使っちゃう感じの男子。


という話と関係あるようなないような、「ひとうたの書」の第三回を更新しました。ちなみに私は美しい女性の字がちょっと汚かった時、なぜか魅力的だな、と感じます。