スメルズライクグリーンスピリット3,4話感想

普通に結婚をして、普通に子供を作って、普通の家庭を築きたい。親を悲しませたくない。世間体を守りたい。
いわゆるマジョリティの人間からしたら比較的簡単に叶ってしまう望みかもしれないが、性的指向が人とは違う彼らにはどう映るのか。
劇中のフトシや桐野にとってはこれらは大きな壁になっていて、女性と性的な行為ができないという現実を突きつけられた時、彼らはどう思ったんだろう。

高校生の彼らは、学校と家庭で起こることがこの世の全てだと思ってしまう。
「いつか堂々と、自分はこういう人間だって言える日が来るといいなって」
狭い世界で生きている彼らが自分たちのアイデンティティに悩みながら、それでも自信を持って生きている姿は逞しく、烏滸がましいかもしれないけど見ているこちら側も勇気がもらえる。
同じ悩みを抱えるもの同士のささやかな交流は、他のどんな経験よりも強く、自分の芯となり未来への希望を抱かせてくれる。

ただ、マイノリティにもさまざまなタイプがいて、全員が同じ方向を目指しているわけでもないし、全員同じでなければならないなんてこともない。
マジョリティがそうであるように、マイノリティの中にも多様性があるのは当然なのだが、この視点が抜け落ちてしまうことも結構多い。
フトシと桐野の屋上の会話はこの点が重要視されている印象がある。

夢野もまた同様に、自分のアイデンティティに悩んでいるのだろうか。フトシと桐野を揶揄う素振りを見せつつも常にフトシのことを気にかけているような気もする。自分の“そういう”一面に気づきたくなくて、或いは気づいているけど見て見ぬふりをしたくてこんな行動をとっているのだろうか。
原作を読んでいないので的外れな感想かもしれないが、この先の展開が楽しみだ。

来週以降、柳田の過去や思いが明らかになっていくのが気になって仕方ない。
彼も今までに自分のアイデンティティに必死に悩んできたのかもしれない。フトシに出会ってしまったことで抑えきれなくなってしまったのか、新しい自分を見つけてしまったのか。

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